事業承継とは|経営者が直面する事業承継4つの選択肢、3つの引継先

事業承継

事業承継とは?

事業承継とは、会社などの「事業」を後継者に引き継がせることです。現金や預貯金、不動産などの個別の資産ではなく、「事業」そのものを引き継がせることがポイントです。「事業」には、会社が有している個別資産だけではなく、会社の経営権や会社のブランド、信用や取引先、負債などの一切合切が含まれますので、単純な遺産相続と同じようにすすめることはできないのです。

なぜ事業承継が必要か?

中小企業や個人事業を経営している場合、ある程度の年齢になったら真剣に事業承継について考えなければなりません。

中小企業を経営されている方、後継者問題に悩まれているのではないでしょうか?
日本には優秀な中小企業が多いにもかかわらず、経営者の高齢化と後継者不足によって廃業をやむなくされる例も多く、大変大きな損失となっています。そのようなことのないよう、次の世代に会社経営を伝えましょう。今回は、事業承継の選択肢や引継先について、解説します。

事業承継

事業承継は、中小企業で深刻な問題

中小企業の場合、事業承継は深刻な問題になりやすいです。

大企業の場合、代表取締役の交代は比較的簡単で頻繁に行われることも多く、代表取締役の候補者もたくさんいます。また、特定の経営者に依存する部分が少ないため、経営者(代表取締役)が代わったからと言って、会社の運営が大きく変化したり停滞したりすることは少ないです。

これに対し、中小企業の場合、会社の運営全体が経営者本人に大きく依存していることが多いです。

たとえば、社長が若い頃に起業してどんどん大きくしてきた中小企業の場合、ワンマン経営になっていて、会社の機能の多くの部分が経営者1人の肩にかかっていたりします。このような会社で経営者が倒れたり交代したりしたら、大きな混乱が生じてしまうのです。

中小企業で経営者が交代するときには、慎重に対応する必要があります。

また、経営者に何かあってからでは遅いため、まだ元気なうちに、早期に承継作業に取り組む必要があります。

事業承継に失敗すると、どうなる?

最近、中小企業の経営者の高齢化などにより、事業承継が注目されることも増えていますが、中にはうまく対応できずに失敗したり、そもそも事業承継に取り組まなかったりすることもあります。事業承継に失敗したら、どうなるのでしょうか?

大きな損失が発生する

未上場の中小企業において事業承継ができないと、その会社は「廃業」せざるをえません。廃業すると、会社の持っている資産をすべて売却し、負債を支払って清算して会社はなくなります。

問題は、資産などの個別財産が失われるだけではなく、その企業の持っている「価値」もすべて失われることです。

日本の中小企業には、非常に高度な技術や特許を持った優秀な企業が多いですが、事業承継ができないと、そうした企業が持っている優れた技術や特許、ブランド価値もなくなってしまうので、大きな損失となります。より多くの中小企業が廃業によって消えていくと、日本の競争力自体もどんどん低下して、産業も衰退してしまいます。

経営者にとっても痛みが大きい

経営者本人にしてみても、若い頃から必死に育てて大きくして、まさに自分の子どものように思っている会社が、ばらばらに壊れて失われてしまうのは、何とも残念でしょう。

このようなことのないように、事業承継が必要になるのです。事業承継をすると、経営者は代わっても会社や事業そのものは残るので、経済的社会的な損失を防ぐことができますし、経営者としても、後の人が自分の事業を引き継いで行ってくれるので、安心です。

中小企業の廃業数は、どのくらい?

廃業

実際に、中小企業の廃業数は、どのくらいになっているのでしょうか?以下で、データをもとに確認していきましょう。

中小企業とは

事業承継が必要とされる中小企業ですが、これは具体的にどのような企業であり、日本にどのくらいあるのでしょうか?

中小企業基本法によると中小企業は、業種によって以下のように分類されています。資本金による分類と従業員数による分類があります。

製造業その他 ・資本金の額または出資総額が3億円以下の会社
・常時使用する従業員が300人以下の会社と個人
卸売業 ・資本金の額または出資総額が1億円以下の会社
・常時使用する従業員が100人以下の会社と個人
小売業 ・資本金の額または出資総額が5千万円以下の会社
・常時使用する従業員が50人以下の会社と個人
サービス業 ・資本金の額または出資総額が5千万円以下の会社
・常時使用する従業員が100人以下の会社と個人

日本の企業のうち、99.7%が中小企業であり、正社員として働いている人の69.4%が中小企業に勤務しています。従業員20人以下の企業や従業員5人以下の商業・サービス業の会社は小規模事業者と言いますが、これを含めると、さらに事業承継を必要とする会社の数は増えます。

中小企業の廃業数は増加している!

中小企業庁の発表によると、2006年から2013年にかけて、中小企業の休廃業数は増加傾向にあります。

具体的には、2006年の中小企業の廃業数は20637件だったものが、2013年には28943件となっています(東京商工リサーチ調べ)。帝国データバンク調べによると、2006年には23999件だった廃業数が、2012年には26050件となっています。倒産件数は増えていないので、中小企業が「倒産はしていないのに休廃業に追い込まれている」現状が見て取れます。

高齢の経営者が廃業する例が多い!

また、休廃業を行っている企業の経営者の年齢を見ると、65歳以上の高齢者の割合が特に増えています。2006年には、廃業者数のうち65歳以上の高齢経営者の割合は14.2%に過ぎませんでしたが、年々その割合が増加し、2012年には45.6%に及んでいます。

今、それから5年が経過しているので、休廃業企業の半数程度が65歳以上の高齢経営者のケースであると考えても良いでしょう。

このように高齢者が廃業に追い込まれるのは、事業承継がうまくいっていないからであると考えられます。日本の産業を守るためには、事業承継を円滑に行い、価値の高い中小企業を存続させる必要があります。

事業承継の方法は?

それでは、具体的に事業承継を進めたいとき、どのような方法があるのでしょうか?とりうる方法として、4つの選択肢があります。それは、上場と後継者への承継、M&Aと廃業です。以下で、順番に見ていきましょう。

後継者への承継

事業承継というと、子どもに継がせるものと考える方が多いのではないでしょうか?実際、後継者への承継が最もメジャーで、検討すべきメインの方法となります。子ども以外にも、現在会社で働いている従業員や役員から、適任な人を探して経営者としての地位を譲渡します。

後継者に事業承継するときには、経営者が有している株式を譲渡するとともに、経営者がふだんこなしている仕事を、今後代わりにしてもらえるように後継者として育成します。引継ぎもしなければなりません。取引先にも、新しい後継者を周知させて、受け入れてもらう必要があります。

また、中小企業の経営者は、企業の借り入れに個人保証をしていることが多いのですが、事業承継をするときには、後継者に対し、そうした負債の引継ぎも行う必要があります。

後継者に承継するメリット

後継者に事業承継する場合、受け継ぐ人は自分の親族であったり従業員であったりすることが多いです。そこで、経営者としては、相手のことをよく知っていますし、信頼できるので安心感を得られます。また、適任な人が見つかった場合には、従業員の理解も得やすく、引継ぎも円滑に進むことが多いです。

後継者に承継するデメリット

後継者に事業承継をする場合、後継者探しに難航することが多いです。とくに最近では、少子高齢化や、自由な働き方ができるようになっていることなどから、子どもが親の事業を引き継がないケースが増えています。また、親としても、経営にまつわる苦労や個人保証などの負担を考えると、あえて子どもに事業承継させたくないと考えることもあります。

従業員や外部の人に承継させるにも、適任者を見つけるのは大変ですし、外部から経営者候補を受け入れると、社内でなかなか受け入れてくれないこともあります。

また、後継者に引き継いでもらうときには、非常に長い時間がかかります。まずは後継者探しをして、その人を後継者として育成し、さらに経営者としての仕事内容を伝えて引継ぎをしていかなければなりません。社内で受け入れてもらい、取引先や金融機関にも了解してもらう必要があります。事業承継している間に経営者が倒れてしまうおそれもあるので、後継者に事業承継させる場合には、特に早めに取り組みを開始する必要があります。

上場

子どもも従業員も会社の引き継ぎに適任でない場合、会社を上場することによって事業承継をする可能性も検討できます。上場すると、経営者本人による個人保証や、個人資産の担保提供は不要になりますし、外部から有能な人材を集めやすいので、後継者も比較的容易に見つかります。ただ、上場はそう簡単には認められません。証券取引所によって厳しい審査があるため、零細企業や事業所の場合には上場は非現実的でしょう。

上場できるくらいの力がある企業の場合、上場には付随的なメリットもある

それは、上場のために、会社が体制を整えることで、会社体制が整えられて、会社内で自然に後継者が育成される効果があることです。実際に、経営者が事業承継を見越して上場を目指して数年間努力を続けた企業において、中心となって上場作業を進めた役員が素質を認められて後継者となった事例などもあります。上場は、一定規模がある企業であれば、試してみる価値のある方法です。

上場のメリット

上場のメリットは、広くいろいろな人材から後継者を探せることです。上場すると、企業への就職希望者も多くなりますし、信用ができるので、中途採用の優秀な人も集めやすいです。また、先の例のように、上場をする過程で、もともといた従業員も成長して、後継者にふさわしい資質を有するようになることもあります。上場すると資金も潤沢に集まるので、引継ぎ後の経営も楽になりますし、経営者の個人保証も不要になるので、負担も小さくなります。

上場のデメリット

上場のデメリットは、利用できるケースが限られることです。上場するには、証券取引所の厳しい審査を通過しなければならないので、実現できるのは、ある一定の規模以上の会社に限られてきます。中小企業や零細企業の多くは、上場したくてもできないことが多いでしょう。

M&A

事業承継には、M&Aによる方法もあります。M&Aとは、企業の吸収や合併のことで、2つの会社が1つに統合したり、ある会社が別の会社を吸収したり事業内容を引き継いだりするものです。「会社の資産を譲渡するのとどう違うの?」と思われるかもしれませんが、M&Aでは、「事業」そのものを譲渡することができるので、資産譲渡とは異なります(ただし、個別の資産を譲渡する事業譲渡によるM&Aの方法もあります)。

M&Aを行う場合、事業の承継先は、別の会社です。つまり、今の会社を他の会社に「買ってもらう」ことが目的です。M&Aによって企業を売却したら、購入した企業が、引き続き事業を経営してくれるので、事業をつぶさずに済み、円滑に承継をしてもらうことができます。

M&Aのメリット

M&Aのメリットは、比較的早期に事業承継を実現できることです。自分の親族や従業員などに承継させるときには、後継者探しをして、地道に育成し、段階的に経営権を譲渡していく作業が必要ですから、数年以上はかかることが必須です。これに対し、M&Aであれば、買取りを希望する会社が見つかって、譲渡価格などの条件さえあればすぐにでも承継ができるので、早いケースでは3ヶ月もあれば事業承継できてしまう例もあります。

また、M&Aをすると、手元に大きなお金が入ってくることもメリットです。たとえば、株式譲渡の方法でM&Aをすると、数千万円というお金が元経営者の手元に入ってきます。リタイア後の生活の糧にすることもできますし、念願の世界一周旅行に行くのも良いでしょう。これを元に何か新しいことにチャレンジすることもできます。

さらに、M&Aを行うと、買い取った会社の事業内容との相乗効果により、事業がより発展する可能性があります。自分がせっかく育てた会社ですから、承継後発展していくのを眺めるのは、うれしいものです。

M&Aのデメリット

M&Aには、デメリットもあります。まず、気に入った買い手が見つからない可能性があることです。特に業績が悪化している企業の場合には、購入希望者が見つかりにくいですし、見つかったとしても、提示される価格が低くて合意できないことがあります。買い手が見つからない場合や条件が合わない場合、M&Aでも1年や2年などの期間がかかります。

また、承継後の経営者が、もともとの従業員を継続して雇ってくれないおそれがありますし、雇用条件が変更される可能性があります。自分のために身を粉にして働いてくれた従業員の待遇が保障されないことは、経営者としては心苦しいものです。

3-4.廃業

事業承継ではないのですが、承継が不可能な場合には、廃業も選択肢の1つとなります。廃業をすると、会社事業は形として残らず、完全に失われてしまいます。

廃業をするときには、会社が保有している資産を全て売却し、負債をすべて支払って、会社を「清算」します。残ったお金は株主に配当されます。

廃業のメリット

廃業する場合、後継者探しも不要ですし、M&Aのように買い手を探す必要もありません。時間がないときにもすぐに実現できます。また、業績が悪化していて、誰かに引き継がせるにも心苦しいケースでは、廃業をしてしまって事業を閉じると、気持ち的にもすっきりします。

廃業のデメリット
会社という価値がすべて失われる

廃業すると、会社という価値が丸ごと失われてしまうことが大きなデメリットです。せっかく育ててきた会社の信用やブランド、技術などもすべてなくなります。経営者が子どものように感じている会社がこの世から完全になくなってしまうのは、非常に寂しいものです。

経営者が受けとる金額が少なくなる

また、廃業すると、事業承継する場合と比べて、経営者が受けとることができるお金は少なくなります。たとえば、M&Aのケースと比べて見ましょう。

M&Aをするときには、会社の純資産額に上乗せして、営業権の数年分を足した金額で買い取ってもらえるのが普通です。株式譲渡の形で売却したら、そこから引かれる税金は、譲渡価格の20%です。

これに対し、廃業する場合には、資産を売却して負債を支払うので、「営業権」に相当する額は入ってきませんし、売却金は「清算価格」という低い金額になるので、より低い金額となります。しかも、ここから所得税として、約40%の金額が差し引かれます。

これが株主への配当のもととなるので、株主に配当するとき、そこに再度所得税(最大50%)がかかります。つまり、廃業をすると、そもそも会社に残る金額が少なくなる上、2重に高い税率による税金が課税されるため、経営者の手元に残るお金が大きく減ってしまうのです。しかも会社も失われるのですから、廃業しても良いことはほとんどありません。

事業承継のことで迷ったら、弁護士に相談しましょう

弁護士

せっかく会社を育てて信用も獲得し、社会内での地位を確立しているのであれば、廃業するのはもったいないので事業承継を検討すべきです。

事業継承はケースごとに方法が異なる

ただ、事業承継にはいろいろな方法があり、ケースによって向いている方法が異なります。また、準備に非常に時間がかかる方法もあります。「後でいいや」と考えていると、時間がなくなって廃業に追い込まれてしまいます。そこで、「そろそろ先のことを考えた方が良いかも」と少しでも頭によぎったら、真剣に事業承継について考えましょう。

こんなとき、法律のプロである弁護士に相談すると、会社に応じた適切なアドバイスを受けられるので、大変役立ちます。中小企業の事業承継に取り組むときには、企業法務や遺産相続問題に強い弁護士に相談しましょう。

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事業承継の3つの引継ぎ先

会議

事業承継の4つの方法の中でも中小企業にとって現実的な方法は、経営権の引継ぎです。廃業はデメリットが大きすぎますし、上場も非現実的なケースが多いからです。そこで以下では、事業承継の3つの引継ぎ先について、説明します。

親族

事業承継をするとき、引継先として最初に思いつくのは親族でしょう。中小企業が後継者を探すなら、息子に、というのは定石となっています。自分が育てた事業を、自分の血を分けた子どもが引き継いでくれたら、経営者としてもうれしいものですし、不安も少ないです。

経営者の子どもが事業承継をしたら、社内にもなじみやすく反発も少ないですし、経営方針が急に変わったり従業員の待遇が急に変更されたりすることも少なく、スムーズに引継ぎが行われやすいです。

全体として、親族間の事業承継は減少傾向に

中小企業庁の発表によると、20年以上前には、事業を息子や娘が引き継ぐ例が83%以上ありました。ところが最近10年間においては、中規模事業者においては43.1%、小規模事業者でも61.3%に低下しています。このデータ自体が2012年頃のものなので、それから5年程度経過している現在では、さらに割合が下がっている可能性があります。

このように、親族間承継が減っているのは、息子や娘が事業を引き継ぎたくないと考えるケースや、経営者自身が子どもに経営の負担を負わせたくないと考えるケースが増えているためです。

親族に承継させる場合の注意点

親族に承継させる場合には、遺産相続との関係に注意が必要です。とくに、複数の子どもがいる場合に、特定の子どもに承継をさせる場合、他の兄弟との間で不公平が起こらないように対処しておかないと、遺産トラブルが起こってしまうおそれが高いです。

事業用資産や株式を経営者が所有している場合の相続方法にも注意が必要

経営者が事業用資産と株式を所有している場合には、後継者にそれらを継がせるべきです。無関係の兄弟に資産を継がせると、経営に支障が生じてしまうためです。しかし、相続人が複数いたら、相続人が法定相続分に応じて経営者の「遺産」を相続します。

たとえば子どもが3人いるときに経営者が死亡したら、兄弟3人の遺産取得分はそれぞれ3分の1ずつです。そこで、事業用資産や株式を、特定の後継者の相続人に集中させる工夫が必要となります。

後継者問題で会社が倒産するケースも

後継者への事業承継がスムーズに進まず遺産相続トラブルが起こったら、会社が倒産してしまう例も珍しくありません。親族に事業承継をさせる際には、きちんと遺言を残しておくことが重要です。 遺言により、後継者となるべき相続人には確実に事業用資産と株式などの会社関係の資産を残し、その他の相続人には、無議決権株式を相続させたり、他の遺産(個人的な預貯金、不動産など)を残したりする必要があります。

このような、効果的な遺言の定め方や遺言書作成方法がわからない場合には、弁護士に相談しましょう。

従業員

事業承継では、従業員も有力な引継ぎ候補となります。長年社長の片腕として会社を支え続けてくれた従業員がいる場合や、有望な若手社員がいる場合などには、後継者として育てて事業承継させる方法です。次の後継者が有能な場合、会社がさらに発展を遂げる可能性も高いですし、元従業員が社長になるなら、社内での反発も少なくなじみやすいでしょう。

経営者自身が元従業員ですから、従業員への待遇が悪くなるおそれもないでしょうし、信頼している部下が引き継いでくれるなら、元経営者としても心安らかです。

従業員に承継させる場合の注意点

従業員が対価を用意できない

従業員に承継させようとしても、候補者を見つけることが難しいケースがあります。このとき、株式を譲渡するのが普通ですが、そうなると、対価を支払ってもらう必要があります。対価を定める基準となる会社の評価としては、純資産を基準にすることが多いのですが、多くの会社で純資産額は1億円を超えます。

ところが、個人でそのような多額の資金を用意できる従業員は少なく、承継候補者を見つけにくいのです。もし、従業員がお金を用意できないなら、経営者がディスカウントをして承継させないといけませんが、その場合、元経営者のリタイア後の資金が減ってしまいます。

従業員に株式を譲渡しないことも考えられますが、その場合、会社の所有者(株主)と経営者が分離してしまい、会社経営に関わらない人が会社の株式を持ち続けるという状態になります。中小企業の株式を持っていても売れるものではないので、元経営者にとってもあまり意味が無いかもしれませんし、新しい経営者にとっても、自社株をまったく持っておらず発言権がないというのは不安でしょう。

保証人や個人資産の担保提供を外してもらえない
また、中小企業の経営者は、借入先の金融機関に対し、会社借り入れの個人保証をしていたり、個人資産を担保提供していたりすることが多いです。経営者が代わるとなると、連帯保証人を変えたり、新たな経営者に担保提供してもらわないと、元の経営者が保証人から抜けたり担保を外したりしてもらうことができません。ところが、従業員が経営者になるとしても、金融機関は従業員への連帯保証人変更を認めないケースがよくありますし、従業員に、担保として提供できるような資産がないことも普通です。そうなると、元の経営者は、経営を退いた後も連帯保証人となったままで、自分の資産を担保提供したままとなり、大変なリスクを背負うことになります。

従業員に事業承継させるときには、事業承継の対価を払うことができる十分な資力をもっていて、かつ金融機関に連帯保証人変更を認めてもらえて、さらに経営能力も持っているという、相当稀少な人を見つけないといけないので、ハードルが高くなりがちです。

M&A

3つ目の引継ぎ方法は、M&Aによって他会社に承継してもらうものです。M&Aをするときには、自社の事業に関心のある企業を探し、その企業に自社を買い取ってもらいます。いくつかのスキームがありますが、中小企業の場合、株式譲渡による方法がもっともメジャーです。M&Aというと、敵対的買収のようなイメージもあり、世間一般ではあまり良く思われていないことも多いのですが、実際には友好的に進めるものです。

というのも、M&Aを行うとき、買い手企業は売り手企業を吸収し、その後売り手企業のノウハウや技術、知識などを活かして業績アップを目指しているわけですから、売り手企業側の協力は不可欠です。反対に、売り手企業やその経営者としても、大切な会社を委ねるわけですから、相手を信頼できない限り、売ることはできないでしょう。

実際に、M&Aを成功させるには、「相互信頼」が最も重要で不可欠と言われています。

ただ、特に中小企業では、どうしても「会社の身売り」などの悪いイメージが強く、あまり広くは活用されていないのが現状です。比率としては、事業承継事案の中で3%以下とも言われています。

M&Aを行うときの注意点

自社のみで取り組むことはほとんど不可能

M&Aを行うときには、相手先を探して契約を締結し、企業のデューデリジェンス等を行わないといけないので、多分の専門的な対応が必要となります。自社の独力で進めるのは不可能ですから、いろいろな専門家による手助けが必要です。契約関係があるため、弁護士に依頼することは必須となりますし、買い手企業を探して条件調整などをしてもらうため、M&A仲介業者と呼ばれる業者に仲介を依頼するケースが多いです。財務調査などが必要なので、公認会計士も必要です。独力で買い手企業を探して契約を締結して…、という作業を続けていると、情報漏えいによってトラブルが起こったり、法的なリスクを防止出来ずに問題が起こったりするので、避けるべきです。

M&A仲介業者の選定について

また、M&A仲介業者の選定にも注意が必要です。M&A仲介業者は、弁護士のように定まった資格ではなく、いろいろな業者が混じっていて玉石混淆だからです。弁護士も、M&A仲介業務を行っているので、そういった弁護士に依頼すると、リスク管理も徹底していて安心できます。弁護士に依頼しない場合には、信頼できる良いM&A仲介業者を選定することはもちろんのこと、業者をしっかり管理できるように、弁護士に相談しながらすすめるべきです。

相手先の企業の選定も重要

また、M&Aを行うときには、相手企業の選定も大切です。見かけの提示金額が高額かどうかだけではなく、従業員の引き継ぎがあるのかや、元経営者に対する待遇(顧問や会長として名前を残すかどうかなど)などを含め、相手を信頼できるかどうか見極める必要がありますし、M&Aのスキーム(株式譲渡か事業譲渡かなど)についても、しっかりと検討しなければなりません。

親族や元従業員であれば、お互いがよく知っているので将来的に何か問題が起こっても、そのときに話し合えば解決できることが多いですし、こちらに不利な条件を設定されることも少ないのですが、M&Aの場合、相手は見も知らない他人が経営する企業ですから、リスク管理には十分慎重になる必要があります。

事業承継は、早めに取り組むべき

砂時計

事業承継には時間がかかる

事業承継は、どのような手段を使っても一定の時間はかかります。時間が少なくなると、その分選択肢も減ってしまいますし、条件も不利になります。以下で、具体的にどのような問題があるのかを確認しましょう。

親族承継や会社内承継が困難になる

現経営者が50代であと10年働けるのであれば、10年の間に後継者候補である息子を経営者として育成したり、従業員の中から項希有者を選んでスキルアップと引継ぎ作業をしたりすることもできます。M&Aにおける条件交渉でも、とくにこちらが急いでいないなら強気で有利な条件を提示できます。

しかし、時間がなくなると、子どもとよく話し合う暇もなく、理解を得られずに「承継したくない」と断られてしまうかもしれませんし、承継させようとしても、十分に必要事項を伝えきれないまま自分が倒れてしまうかもしれません。遺言や相続税対策などの対策をしないまま死亡すると、自分の亡き後に相続トラブルが起こって、会社にまで影響が波及し、倒産に追い込まれるケースもあります。

M&Aをしても、不利になる

子どもや従業員に承継ができないのでM&Aをしようと思っても、急いでいると、条件面で相手に譲らざるを得ないので、不本意な条件で相手に大切な会社を譲らざるを得なくなります。

廃業に追い込まれる

時間がなくなると、M&Aすらできず、やむなく廃業に追い込まれるケースもあります。実際に、事業承継ができないまま廃業している中小企業も、全体の7~8%くらいはあるのです。

そこで、事業承継には、とにかく早めに取り組むことが大切です。自分が経営者になっている場合、どうしても「まだまだできる」と思い、承継作業を先延ばしにしてしまいがちです。そして、本当にどうしようもなくなったときに、ようやく「引き継がせよう」と考えます。しかし、それでは遅いのです。そうではなく、「まだまだ動ける」「元気なとき」に、万全の体制で事業承継に取り組むことが、事業承継の成功の秘訣です。

スムーズに事業承継をしたいなら、弁護士に相談を!

相談

事業承継を行うとき、主に親族に承継する方法、従業員に承継する方法、M&Aによる方法の3つがあるのでまずはここから適切な方法を選ばないといけません。また、それぞれについて専門的な対応が必要となるので、自社内だけでは対応が困難でしょう。

そこで、スムーズに事業承継を進めたいなら、専門家である弁護士に相談をして、アドバイスを受けながら必要なサポートを受けるべきです。以下で、弁護士が事業承継でどのような手助けをしてくれるのか、説明します。

会社の現状を把握する

弁護士に事業承継の相談をしたら、まずは会社の現状を把握するところから作業を開始します。以下のような項目を調査します。

後継者候補がいるか

親族や特定の従業員などの後継者候補がいたら、その人への承継を進めますが、いなければ後継者探しから始めないといけません。

どのような資産があるのか

資産内容によって、事業承継の対価が変わってきますし、経営者の個人資産があったらその所有権移転も検討しなければなりません。

株式の評価額はいくらか

株式を後継者に承継させるとき、贈与税が発生しますし、株式を譲渡するときにも評価額が関係します。後継者以外の相続人の遺留分を計算するためにも、評価額が明らかになっている必要があります。

株式の保有状況はどのようになっているか

事業承継の際には、後継者に株式を譲渡しなければならないので、現経営者が保有していない株式を買い集めないといけない可能性があります。

事業承継の方法を選択する

会社の現状を把握できたら、次に事業承継の方法を検討しなければなりません。このとき、弁護士は、後継者決定のための助言をしてくれます。現状をふまえて、もっとも適任な親族や従業員、役員などがいないかを、弁護士と相談して決定しましょう。経営の資質を備えた適任者がいない場合には、M&Aを検討する必要もあります。

どの方法で事業承継をするかを決定したら、弁護士が事業承継計画書を作成してくれます。今後は、その内容に従って、会社の経営と事業承継の作業を進めていくことになります。

関係者に説明をする

事業承継を進めるに際し、段階的に関係者に説明をしていく必要があります。

まずは承継候補者に説明をして、承継を了承してもらう必要がありますし、次に親族への説明も必要です。会社の重要な役員、キーパーソン、さらには取引先や金融機関にも周知していかなければなりません。一般の従業員にもきちんと説明をして理解を得ておかないと、モチベーションが落ちて企業の生産性が下がってしまうおそれがあります。説明会を開催するなどして、丁寧に事業承継後のプランを伝えて、廃業のリスクや事業承継によって得られるメリットを理解してもらいましょう。

事業承継の具体的な作業をすすめる

弁護士は、事業承継の具体的な作業の手助けや助言もしてくれます。もし、現経営者が譲渡に必要な十分な株式を持っていない場合には、後継者に引き継ぐために買い集めないといけません。

また、後継者は、すぐに経営ができる状態ではないでしょうから、教育をしてスキルアップさせる必要がありますし、今の経営者が行っている業務の引継ぎ作業も必要です。経営についての実務経験を積ませて、各種のセミナーに参加させたり本による勉強をさせたりします。

また、経営者が会社借り入れの個人保証をしていたり、個人資産を担保に入れていたりする場合には、金融機関と交渉をして、保証人を解除してもらい、担保を次の経営者の資産と入れ替えてもらったりする必要があります。弁護士は、こういった交渉の代行もしてくれます。

親族承継のケースでは遺産相続問題も解決してくれる

親族承継の場合には、遺産相続との関係でのリスク予防が重要です。死後に相続人らが相続トラブルを起こすと、会社経営が滞り、倒産してしまうケースもあるためです。そこで弁護士は、死後の相続トラブルが起こらないように、効果的な遺言内容を考えてくれますし、公正証書遺言によって確実に遺言を残してくれます。このことにより、トラブルを防いで大切な会社を守ることができますし、子どもたちが長年骨肉の争いを繰り広げる結果も避けられます。また、弁護士に遺言執行者に就任してもらったら、遺言を確実に実現できるので安心です。

株式や事業用の資産を後継者に生前贈与しておくと、確実に後継者に必要な資産を受け渡すことができて安心ですが、その際にも弁護士に贈与契約書を作成してもらうことができます。

会社内承継のケース

従業員に対して事業承継をするときには、従業員に対して会社の株式や会社事業に必要な財産を移転しなければなりません。こうした資産を売却するのであれば売買契約書が必要ですし、対価なしに譲るのであれば、遺言をしておく必要があります。また、相続人が遺留分を主張しないように、無議決権株式を発行して、会社を承継しない相続人に遺贈しておくことも効果的です。

弁護士は、こういった遺言書作成や契約書作成のサポート、法的な観点からの助言、手続きをしてくれるので、役立ちます。

M&Aのケース

M&Aを行うときにも、弁護士の力を借りる必要性が高いです。買い手企業と条件交渉をするとき、相手の提示条件が妥当で受諾しても良いものか弁護士に尋ねることができますし、契約締結の際も、自社に不利になっている点がないかどうか、チェックしてくれます。相手企業に不審な点がないかどうか、法的な観点から意見を言ってくれるので、リスクを軽減することができます。

M&Aでは仲介業者が必要ですが、弁護士にM&Aの仲介を依頼すると、間違いがなく安心感が高いです。他のM&A業者に依頼したときには、弁護士が適切に監視をしてくれるので、業者の活動内容に問題があれば、深みにはまる前に解任して別の業者に変更することができて、不利益を避けることができます。

弁護士に事業承継を依頼するタイミング

経営者

何も決めていないから、相談できないと考える経営者が多い

弁護士に事業承継を依頼したら良い、と言われても、事業承継は、一般の個人の離婚や債務整理、交通事故のなどの案件とは異なり、「気軽に依頼しにくい」と感じる経営者の方が多いかもしれません。

まだ、どんな方法で事業承継したら良いかまったく考えていないし、承継者の候補者もまったく思いつかないから、「こんな段階で弁護士に相談に行っても、話すことが何もないのではないか?」と思ったり、「もっとちゃんと考えてから来て下さい」と言われて追い返されるのではないか?と不安を感じたりする経営者の方もおられるでしょう。

相談は、早ければ早いほどよい

事業承継は、いつのタイミングで弁護士に相談したら良いのでしょうか?

これについては、早ければ早いほど良いです。先ほどの例のように、まだどのような方法で事業承継したら良いのかまったく決まっていない段階でも、弁護士が話を聞いて、ベストな方法を助言してくれます。1回の相談では決まらない場合には、継続的に相談と実践を繰り返して、自社にとって最も良い方法をプロと一緒に模索していくことができます。

また、承継者の候補者がいない場合でも、相談する価値はあります。その場合、弁護士が話を聞いて、承継できそうな関係者を提示してくれることもありますし、本当に適任者がいない場合には、M&Aで第三者の引継ぎ者を探す方法もとることができるからです。

弁護士と一緒に事業承継の方法を考えよう!

事業承継を相談するタイミングは「あやふやだけれども、何となく将来が不安」というレベルで十分なのです。そのような不安のある状態から、弁護士と一緒に1つ1つ問題をクリアにしていき、何年かかっても、最終的にきれいに承継を終えてしまうことが、事業承継サポートの目的です。今、少しでも事業承継のことが気になっているなら、まずは一度、弁護士に連絡を入れてみることをお勧めします。

事業承継に強い弁護士の探し方

弁護士

事業承継を弁護士に依頼するとして、どういった弁護士を選べばいいのか?と疑問を感じる方もおられるでしょう。弁護士には、いろいろな取扱分野があるため、どのような弁護士に相談・依頼しても効果的な助言をもらえるとは限りません。事業承継はかなり高度な知識やノウハウを要する難しい作業ですし、弁護士の取扱分野の中でも専門的な部類に属するので、弁護士選びはかなり重要なポイントです。

以下で、事業承継に強い弁護士の見分け方をご紹介します。

遺産相続と企業法務

事業承継に力を入れている弁護士を探したい場合、ホームページに「事業承継が得意」と書いてある弁護士であればわかりやすいのですが、事業承継は、弁護士の取扱業務の他の分野の中に入っていることもあるので、知っておくと役立ちます。

遺産相続に強い事務所

1つは、遺産相続です。事業承継では後継者として親族(子ども)を選ぶことが多いので、遺産相続が絡む案件が非常に多数となります。そこで、遺産相続に力を入れている弁護士は、その一環として事業承継を取り扱っていることがよくあります。

企業法務に強い事務所

もう1つは企業法務です。事業承継では、株式の評価や売買、贈与、M&Aなどの企業法務が多く関わってくるため、企業法務をメインで取り扱っている事務所でも、事業承継に力を入れているところがたくさんあります。

それぞれの事務所の特徴と選び方

遺産相続を得意としている事務所は、どちらかというと個人の顧客も多く、アットホームな感じがして、費用もそう高くはないことが普通ですが、M&Aなどは不得意であるケースがあります。

企業法務を得意としている事務所の場合、アットホームと言うよりも、ビジネスライクにテキパキと作業を進められることが多いですし、M&Aが得意な事務所もたくさんあります。ただ、こうした事務所では、費用が非常に高額になることもあります。

まずは自社の状況や選ぶ事業承継の方法によって相談する事務所を選びましょう。息子や娘に事業承継をさせたい小さな企業なら遺産分割が得意な事務所に行くと良いでしょうし、かなり大規模の企業でM&Aなども視野に入れて考えているなら、M&Aに力を入れている企業弁護士に相談すると良いです。どちらの場合も、まずはホームページなどで弁護士事務所の特徴をつかみ、実際に弁護士事務所に行って雰囲気を確かめて、費用などについても説明を受けた上で、依頼する弁護士を選ぶと良いでしょう。

事業承継にかかる弁護士費用

弁護士費用

事業承継を弁護士に依頼したら、どのくらいの費用がかかるのかを見ておきましょう。事業承継の場合、どういったスキーム(手法)を使うのかによって金額が大きく変わりますし、事務所によっても金額が大きく異なるので、例を出しながらだいたいの相場感をご紹介します。

法律相談料

まず、事業承継の相談をするとき、法律相談料がかかります。相場は、30分5000円~1万円程度です。

事業計画書作成費用

次に、弁護士に事業承継計画書を作成してもらうときに、その費用がかかります。これは、会社の純資産の金額によって異なります。以下は、一例です。

300万円以下の場合 契約金額の4%相当額
300万を超えて3000万円以下の場合 契約金額の2%相当額+6万円
3000万円を超えて3億円以下の場合 契約金額の1%相当額+36万円
3億円を超える場合 契約金額の0.6%相当額+156万円

9-3.遺産相続関係の費用

親族に承継させるときには遺産相続が関連しますが、そうした遺産相続関係の作業を依頼すると、以下のような費用がかかります。

生前贈与契約書作成 15万円
遺言書作成 15万円
遺留分放棄 1人あたり5万円+消費税
遺言執行 相続財産の金額により決定
・300万円以下の場合:30万円
・300万円を超え3000万円以下の場合:2%+24万円
・3000万円を超え3億円以下の場合:1%+54万円+消費税
・3億円を超える場合:0.5%+204万円+消費税
定款変更など 1件あたり3万円+消費税
M&A契約書作成 譲渡金額により決定
・300万円以下の場合:10万円
・300万円を超え3000万円以下の場合:1%+7万円
・3000万円を超え3億円以下の場合:0.3%+28万円
・3億円を超える場合:0.1%+88万円

M&Aの仲介を依頼する場合

M&Aの仲介業務を弁護士に依頼する場合には、売買価格を基準として、費用がかかります。以下は、一例です。

5億円以下の部分 5%
5億円を超えて10億円以下の部分 4%
10億円を超える部分 3%

企業法務を得意としている事務所では、タイムチャージ制を導入していることもあり、たとえば1時間3万円~5万円程度の費用がかかることもあり、高額になる場合があるので注意が必要です。また、事業承継は継続的な弁護士の関与を必要とするため、継続的な事業承継支援費用(顧問料)として月額5万円がかかるケースなどもあります。

事業承継でかかる弁護士費用は、会社の規模や使うスキーム、依頼する弁護士事務所によって大きく異なるため、当初の弁護士事務所選びの際に、なるべく多くの事務所に問合せをして比較検討することをお勧めします。

弁護士に相談しながら早めの事業承継を!

弁護士

上場していない中小企業の場合、事業承継を行わないと、経営者の死亡や引退とともに会社を廃業してしまうことになります。実際に、高齢の経営者が、事業承継できずに廃業しているケースもたくさんあります。こうした現状は、非常に残念でもったいないことですし、経営者としても本意ではないでしょう。せっかく育てた会社ですから、信頼できる後継者に引き継いでもらい、自分の退任後もますます発展していく姿を見ていたいものです。

事業承継を成功させるためには、早めの取り組みが大切

事業承継の方法にはいくつものパターンがあって、自社に応じた適切な方法を選ぶためには、選択肢がたくさんある早い段階で検討を始める必要があるためです。

事業承継をすすめる際には、いろいろな専門的な対応が必要になりますし、リスク管理が必要になる場面も多いので、弁護士のアドバイスを受けながら進めると安心です。弁護士の中でも、遺産相続や企業法務の事業承継に力を入れている弁護士を選んで相談しましょう。

弁護士というと、敷居が高いと感じるかもしれませんが、今は弁護士もフレンドリーに、親身になって話を聞いてくれる人が増えていますし、小さな会社の小さな案件だからと言って邪険にされる心配もありません。そろそろ先のことも考えないといけないと感じているなら、まずは一度、弁護士に相談の申込みをしましょう。

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