【相続人の確定】戸籍調査の方法~個人でも戸籍の調査はできる?

戸籍

相続人を確定するには、戸籍をたどっていきます。戸籍調査の方法とは?詳しく見ていきましょう。故人の意外な過去が見つかるかも知れません。

相続人の確定には戸籍調査を行う

財産を持っていた人が死亡すると、相続が開始します。遺産分割協議をするには相続人が誰かをはっきりさせる必要があります。相続人は親、子ども、兄弟姉妹などが考えられますが、実際に戸籍を見てみると被相続人が秘かに認知した子どもがいるとか、養子縁組をしていたといった事実が出てくることがあります。
そこで相続人を調査し、確定するために、まず「戸籍調査」を行います。

戸籍とは

戸籍調査の説明をする前に、まず戸籍とは何かについて見ていきましょう。

戸籍には次の内容が記載されていて、市区町村単位で管理されています。

  1. 氏名
  2. 出生年月日 
  3. 戸籍に入った原因、年月日 
  4. 実父母の氏名及び実父母との続柄 
  5. 養子である場合は、養親の氏名及び養親との続柄 
  6. 夫婦については、夫または妻である旨 
  7. 他の戸籍から入った者につては、その戸籍の表示 
  8. その他命令で定める事項

ちなみに役所に行くと戸籍謄本と戸籍抄本という言葉が出てきます。謄本と抄本の違いは次の通りです。

戸籍謄本 戸籍の原本をそのまま写したもので、戸籍に記載されていることがすべてわかります。
戸籍抄本 戸籍の原本の一部を抜き出したもので、個人の確認に使うケースが多いものです。

三代戸籍禁止の原則

戸籍には「三代戸籍禁止の原則」というルールがあります。これは親、子、孫の三代は同じ戸籍に記載できないというものです。
例えばAさんに長男Bさんが生まれると、Aさんの戸籍に入ります。
Bさんが結婚(婚姻届を提出)したら、Aさんの戸籍からは抜けます。これを「除籍」と言います。
そして、Bさんは新たな戸籍の筆頭者になります。

Bさんに子どもCちゃんが生まれたら、CちゃんはBさんの戸籍に記載されます。
では、シングルマザー(未婚の女性が出産した場合)はどうなるでしょうか?
Dさんという女性は親と同居していましたが、婚姻関係にない男性との間に子どもが生まれました。男性とは結婚せずに育てることにしました。
この場合も親子三代が同じ戸籍に入れないために、Dさんは親の戸籍から抜けて、新たな戸籍の筆頭者となります。そして、そこに生まれた子どもが入ることになります。

除籍・転籍・改製について

除籍

結婚、死亡などで戸籍から抜けることを除籍といいます。また、結婚や死亡、他の市区町村に本籍地を移す(転籍)などで戸籍内の全員が抜けるとその戸籍は除籍扱いとなり、その写しを「除籍謄本」といいます。

転籍

実家を出て違う地域で家庭を持つ場合、本籍地を現住所に移す場合があります。これを「転籍」といいます。

改製

戸籍は法改製によって今までに何度か作り直されています。
例えば昭和32年に戸籍制度が改製され、家単位から家族単位に改製。平成6年に戸籍事務がコンピュータ化されて改製されています。

戸籍が改製されると結婚や死亡によって除籍されている人は、新戸籍には記載されません。
例えばAさんは昭和30年に前妻と離婚し、Kさんと再婚したとします。その後、Kさんとの婚姻関係が続いている場合、現在の戸籍には前妻の名前と×(離婚したこと)は記載されていないのです。(昭和32年の改製以降、記載がなくなります)
同じようにAさんに昭和60年生まれの子どもがいて、その子が平成3年に死亡した場合もその時点で除籍され、平成6年の改製後の戸籍にはその子の名前は載っていないということになります。
ただ、改製前の戸籍は「改製原戸籍」として残っています。

このように現在の戸籍だけでは故人の婚姻歴や子どもの有無などがわからないということになります。そのために相続人の調査には、故人(被相続人)の出生時にまでさかのぼって戸籍を調べる必要があります。”

戸籍調査の方法

戸籍は本籍地にあります。現住所と本籍地が異なる場合は、本籍地の役所で取り寄せることになります。なお、本籍地がわからない場合は住民票に本籍地を記載してもらうように請求すれば見ることができます。

戸籍調査の流れは次のようになります。

  1. 現在の本籍地で戸籍謄本を請求する(郵送でも可能です)
  2. その戸籍に記載された内容を見て、ひとつ前の戸籍謄本を請求する(例えば結婚や転籍などがあれば、それをたどっていく)
  3. これを繰り返して出生時の戸籍謄本まで取り寄せる

具体的な例で見てみましょう。

【例】被相続人:田中一郎さん

昭和10年生まれ 大阪市中央区在住(住民票は大阪市中央区)本籍地は不明 平成27年8月死亡

この人の戸籍調査を始めます。戸籍調査は新しいものから古いものへとさかのぼっていきます。

  1. 田中一郎さんの本籍地は不明です。本来なら住民票に本籍地を記載してもらうのですが、死亡届によって住民登録は抹消されています。そこで「住民票の除票」を「本籍地表示あり」で取り寄せます。住民票の除票は死亡時の住所で作成されます。
  2. 住民票の除票にある本籍地に戸籍の取り寄せを請求します。(田中一郎さんの戸籍に親族が残っていれば戸籍謄本になりますが、すべて死亡、結婚などで除籍になっている場合は除籍謄本を取り寄せることになります。)
  3. ここで取り寄せた最初の戸籍謄本(A)を見てみます。ここに「平成10年5月1日 兵庫県神戸市○○より転籍」と書いてあれば、その土地から本籍地を移したということになります。
  4. 神戸市の市役所に戸籍謄本(B)を請求します。そこに「平成○年○月改製」と書いてあったら、神戸市に戸籍があったときに改製が行われたということがわかります。戸籍(B)にはそれ以前のことが記載されていないので、改製前の内容を取り寄せることになります。
  5. 戸籍謄本(B)の改製原戸籍(C)が同じ本籍地で残されているので、それを請求します。
  6. 改製原戸籍(C)を見ると、「昭和60年に愛知県名古屋市○○より転籍」とあります。つまり昭和60年までの戸籍は愛知県名古屋市○○にあったということがわかります。そこで、次は愛知県名古屋市に戸籍謄本(D)を請求します。その戸籍謄本(D)には現在の妻である明子と結婚したこと、長男と次男が生まれたことが記載されています。また、その戸籍(D)には別の女性と結婚し、子どもが1人(陽子さん)いたことと離婚したことが記載されていました。
  7. この場合、前妻は相続人にはなれませんが、前妻との間にできた子ども(陽子さん)は一郎さんの実子なので相続する権利があります。ただ、陽子さんの現在の居所がわかりません。

これを調べるには戸籍の附票を取り寄せます。相続人でもできますが、物理的にも精神的にも負担が大きくなるので、弁護士に依頼されるといいでしょう。

このようにして、田中一郎さんの出生までさかのぼって戸籍を調べ、特に相続に関する人物がいないかどうか(実子や養子)を調べ、相続人を確定していきます。

戸籍謄本の請求方法

戸籍謄本は現地の役所まで行かなくても、郵送で請求できます。ただし、誰でもできるというわけではありません。

戸籍謄本の請求ができる人
  • 戸籍に記載されている人、またはその配偶者、直系親族
  • 代理人(委任状が必要)
請求先

本籍地のある市区町村役場の戸籍係

必要なもの
  • 申請書(特に書式はないので、便箋などに必要な人の「本籍地」「名前」「生年月日」「通数」「戸籍の使い道」を記載します)
  • 顔写真のついた身分証明書(パスポートや運転免許証)のコピー
  • 印鑑
  • 委任状(必要な場合)

事前に取り寄せ先の役所に電話で連絡すると、スムーズにできます。

なお戸籍謄本は名義変更の際にも必要になります。名義変更には戸籍謄本の原本が求められますが、複数取り寄せるとそれだけ費用がかかります。多くは先方がコピーして返却してくれるようです。
そのため1~2通取り寄せておけばいいでしょう。

このように長く生きている人ほど調査には時間と手間、費用がかかります。自分でもできますが、難しい場合は弁護士など専門家にお願いするといいでしょう

費用
現在の戸籍謄本 1通450円
除籍謄本 750円
改製原戸籍 750円
返信用封筒
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