相続税制改正のポイント~小規模宅地等の特例の適用範囲が拡大

チェックポイント

小規模宅地等の特例が平成27年以降の法改正で使いやすくなりました。特定居住用の宅地の場合、面積の上限が240㎡から330㎡に引き上げられたほか、二世帯住宅の適用要件も緩和されました。玄関が2つある内部がつながっていない住宅でも使えるようになったのです。ただしマイホームを所有している子には適用されないなど条件があります。

小規模宅地等の特例の改正ポイント①対象となる面積が拡大

国税庁の発表によると、相続財産の中では土地の占める割合がもっとも高く、全体の40%以上になっています。その中でも圧倒的に多いのが宅地ですが、宅地などを相続する際に利用できる制度が「小規模宅地等の特例」です。

小規模宅地等の特例とは

「小規模宅地等の特例」とは、被相続人が所有していた居住用の土地や工場・事務所などの事業用の土地について、相続財産として評価額を算出する際に一定の面積まで大幅に評価額を減額してもらえる制度です。

平成26年の相続税法改正に伴い、平成27年1月1日よりこの特例の適用される面積が240㎡から330㎡まで拡大しました。また、居住用の土地と事業用の土地を両方相続する場合、以前は両方の土地を合わせて400㎡までしか適用されず、それぞれの面積によって調整が行われていましたが、相続税法改正後は両方の土地を合わせて730㎡まで拡大されました。

住宅地の場合

居住用の土地は、小規模宅地等の特例の適用により「特定居住用宅地」とされ、評価額が80%減額されます。1㎡あたりの単価が10万円・面積300㎡の土地を例に、相続税法の改正前後でどれくらい金額が変わるのかについて見ていきましょう。

改正前の評価額

小規模宅地等の特例が適用されるのが240㎡までなので、まず当該土地のうちの240㎡の土地について評価額を計算します。

240㎡×10万円=2400万円

この部分が80%減額されるので、240㎡までの土地の評価額は以下のようになります。

2400万円×(100%-80%)=480万円…A

次に、240㎡を超える面積について評価額を計算します。240㎡を超える部分の面積は

300㎡-240㎡=60㎡

この部分は減額の対象ではないので、この部分の評価額は以下のようになります。

60㎡×10万円=600万円…B

よって、この土地全体の評価額は以下のようになります。

A+B=1080万円
改正後の評価額

改正後は、土地面積が330㎡まで特例の対象となるので、300㎡すべてが80%減額の対象になります。具体的な評価額を計算すると、以下のようになります。

3000万円×20%=600万円

以上の結果からわかるとおり、相続税法改正後には土地の評価額が480万円も低くなりました。土地の評価額が低くなれば、それだけ相続税も低く抑えられることになります。

居住用と事業用の土地を両方相続する場合

同じ敷地内に工場と住居が併設されているケースも珍しくありません。被相続人等が個人または法人で事業(不動産貸付事業を除く)をしている土地がある場合には、一定の要件を満たすと、特定事業用宅地等または特定同族会社事業用宅地等(いずれも400平米まで80%減額)の適用を受けることができます

改正前

居住用宅地と事業用宅地を比べて有利なほうから選択しました。
例えば居住用宅地が300㎡、事業用宅地が400㎡だとすれば、

居住用宅地:300㎡×10万円=3000万円
事業用宅地:400㎡×10万円×(100%-80%)=800万円

居住用宅地と事業用宅地を合わせた評価額は

3000万円+800万円=3800万円
改正後

平成27年1月1日以降に発生した相続では、居住用宅地と事業用宅地の完全併用が可能となっています。この改正で、それぞれの限度面積を合計した730㎡(330㎡+400㎡)までの範囲で小規模宅地等の特例の適用が受けられることになりました。

先程の例で評価額を計算してみると、

居住用宅地:300㎡×10万円×(100%-80%)=600万円
事業用宅地:400㎡×10万円×(100%-80%)=800万円

居住用宅地と事業用宅地を合わせた評価額は

600万円+800万円=1400万円

改正前の評価額と比べると、3800万円-1400万円=2400万円も評価額が抑えられていることがわかります。

小規模宅地等の特例の改正ポイント②二世帯住宅の要件が緩和

平成26年の相続税法改正で、小規模宅地等の特例が適用できる二世帯住宅の要件が緩和されたのも注目すべき点です。以前は、子供(被相続人)が住む場所と親(相続人)が住む場所が、構造上自由に行き来できる状態になっている必要がありました。

分離型の二世帯住宅も小規模宅地等の特例の対象になった

昨今、お互いのプライバシーを尊重したい」等の理由から、両親の居住エリアと子供の居住エリアを明確に区分した構造になっている二世帯住宅が増えています。相続税法が改正され、以前は適用外だった以下のような分離型の住宅にも、小規模宅地の特例が使えるようになりました。

1階と2階に玄関がある二世帯住宅も対象に

1階が親世帯、2階が子供世帯になっている二世帯住宅があります。1階と2階に玄関があり、外階段では行き来できるが内部では行き来できないような住宅も、小規模宅地の特例の対象となりました。

完全分離型の二世帯住宅も特例の対象となる

二世帯住宅の中でも、同じ敷地内に親世帯の住む家と子供世帯の住む家が別々に建っている場合があります。この場合についても、一定の条件の下で小規模宅地等の特例の対象となりました。

区分所有登記で小規模宅地等の特例が適用外に

完全分離型の二世帯住宅について、無条件で小規模宅地等の特例が適用されるようになったわけではありません。子供が住んでいる家屋に子供の名義で区分所有登記をしてしまうと、その部分は特例の適用外となるため注意が必要です。

区分所有とは

区分所有とは、分譲マンションなどのように、ひとつの建物を区分して、複数の専有部分に対して個別に占有権を設定する方法です。子の居住部分を区分所有にすると、その部分は子の所有とみなされ、相続財産の対象外となってしまいます。

二世帯住宅まるごと親の単独名義にする

そのため、完全分離の二世帯住宅でも、子の居住部分を子の所有名義にせず、親と子の居住部分すべてを親の所有名義にしておく必要があります。現在、区分所有登記をしているようであれば、子の居住部分を親に名義変更しておきましょう。具体的な方法については、相続に詳しい税理士や弁護士などの専門家に相談することがおすすめです。

居住用土地に関する小規模宅地等の特例の要件とは

適用条件が拡大された小規模宅地等の特例ですが、この特例が適用されるためには、相続人に対して次の要件が課せられています。単に親と同居していれば適用されるわけではないので、注意しましょう。

小規模宅地等の特例のための相続人の条件

対象となる相続人は、被相続人の配偶者や子供以外の親族にも適用されます。相続時に相続する人が同居していないと小規模宅地等の特例が利用できないと思っている方も多いですが、別居していても適用されます。

相続人が同居の親族の場合

被相続人が亡くなる前から住んでいた建物にずっと一緒に住んでいて、その親族が相続税の申告期限までその建物を引き続き所有・居住していることが要件となります。また、二世帯住宅が区分所有されていた場合は、相続開始直前から子が親の居住部分に住んでいなければ同居要件を満たすことはできません。

相続人が別居の親族の場合

別居していた親族は、以下の条件を満たせば小規模宅地等の特例が適用されます。これは別名「家なき子特例」とも呼ばれるものです。

  • 被相続人に配偶者や同居の親族がいない場合
  • 相続人の死亡前3年以上、その別居親族またはその別居親族の配偶者が所有するマイホームに住んでいないこと(借家住まいであること)
  • 被相続人が住んでいた宅地を申告期限まで所有していること

「家なき子特例」を利用する方法

家なき子特例を上手に利用する方法として、以下の2つの方法があげられます。ただし、両方とも相続開始3年前より以前から始めていないとこの特例は適用されないので、特例の利用を検討している際には注意することが必要です。

親の持ち家を借りて住む

借家に住む場合、必ずしも自分が不動産屋に行って賃貸契約を交わした物件に住まなければならないわけではありません。親が所有している家をただで借りて住むことでも、特例の適用上問題はないとされています。

持ち家を賃貸、もしくは売却する

また、持ち家を持っている場合でも、その家を賃貸に出したり売却したりして自分は居住せず、借家に住むのであれば、家なき子特例を適用できることになっています。この特例を利用したい場合はこのような方法もあることを覚えておくとよいでしょう。

小規模宅地等の特例の適用については弁護士に相談を

小規模宅地等の特例は適用できる条件が複雑でわかりにくくなっています。法律も頻繁に改正されているため、自分が実際にこの特例を利用できるかどうかわからない場合は、遺産相続に詳しい弁護士や税理士などの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

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