相続の相談はどこにする?弁護士、税理士、司法書士、行政書士それぞれのメリットは?

相続

遺産相続をするときには、非日常的な手続きがたくさん必要になるので、専門家に相談すべき場面がたくさんあります。遺産相続の専門家には弁護士、税理士、司法書士、行政書士がありますが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?今回は、相続問題の相談先とそれぞれのメリットを説明します。

相続問題では、専門家への相談・依頼が必要

相談先

遺産相続は、どのような人でも一生に1回は経験することの多い法律問題です。ただ、その手続きは日常とはかけ離れたものです。

たとえば、相続人や相続財産を調べて遺産分割協議をしたり、遺言を探したり、不動産の登記をしたり税金の申告をして相続税の支払いをしたりしないといけません。相続人同士で遺産分割の方法に意見が合わずにトラブルになることも多いですし、莫大な相続税が発生して支払いができずに困ってしまうこともあります。

このように、自分たちの力では対処が難しいので、専門家の助けを借りる必要がありますが、相続の専門家には、いろいろな種類があります。それぞれの専門家によってできることとできないことがあるので、ケースごとに適切な専門家を選んで相談をする必要があります。

以下では、相続問題の専門家の種類と選び方を、具体的に見てみましょう。

相続を相談できる専門家

遺産相続を相談できる専門家には、大きく分けて4種類があります。

  1. 司法書士
  2. 弁護士
  3. 税理士
  4. 行政書士

税理士は、何となく相続税関係で相談できるのかな、と思われるかもしれませんが、その他については誰にどのような相談ができるのか、よくわからない人が多いでしょう。以下では、これらの専門家がどのような業務を行う人なのか、説明します。

司法書士とは

まず、司法書士を見てみましょう。

司法書士は、不動産登記の専門家

土地や建物の売買や離婚の財産分与、贈与、相続などによって不動産の所有者が移転したときには所有権移転登記をしなければなりません。また、土地に担保を設定するときには、抵当権の設定登記をします。

司法書士は、こうした登記の専門家であり、登記申請の代理権を持っています。最近は、司法書士の業務の範囲が拡大されて、簡易裁判所での代理権を持つようになりましたし、相続関連でも、遺言書の検認や相続放棄などの一部の手続きについて、書類作成の代理をすることが可能となっています。司法書士になるためには、司法書士の国家試験に合格する必要があります。

弁護士とは

弁護士とは、あらゆる法律問題を取り扱うことができる法律のエキスパートです。一般の認識では弁護士と司法書士と混同しているケースが多いですが、実際には弁護士と司法書士は業務範囲が大きく異なります。司法書士がもともと不動産登記の専門家であるのに対し、弁護士はどのような法律問題も取り扱うことができる法律のプロだからです。

たとえば、弁護士は遺産相続問題はもちろんのこと、医療過誤事件、税務訴訟、交通事故、借金問題、慰謝料請求の問題など、どのようなケースの相談にも応じてくれます。

また、弁護士は簡易裁判所だけではなく、地方裁判所や家庭裁判所、高等裁判所などのすべての裁判所における代理権を持っています。当事者の代理人として交渉をすることも可能です。弁護士になるためには、司法試験という国家試験に合格する必要があります。

行政書士とは

次に、行政書士についてご説明します。行政書士は「町の身近な法律家」など言って宣伝していることも多く、何となく敷居が低いイメージを持っている人も多いでしょう。

行政書士は、平たくいってしまうと「代書屋」

人の代わりに書面作成をしてくれる人です。たとえば、各種の内容証明郵便の作成や契約書作成、役所に提出する文書や申請書などの作成をしてくれます。これに関連して、建築業や運送業、輸出入や入館手続きなどの各種の許認可申請の代行を受けている行政書士も多いです。

ただ、行政書士には「代理権」はありません。そこで、裁判所に対して何かを申請したり、当事者の代わりに交渉をしたりすることは、基本的にできません。

税理士とは

税理士は、比較的イメージしやすい専門家でしょう。

名前のとおり、税金の専門家

相続問題に関連する士業(専門家)の中でも、税務申告に関する代理権を持っているのは税理士のみです。税理士には、節税方法や税務調査の対策などを相談することもできますし、経営や起業について支援をしている人も多いです。税理士も国家試験があり、それに合格しなければなりません。

なお、税理士と公認会計士は、世間ではよく似たものと思われていますが、その業務内容は大きく異なります。

税理士は税金の専門家であるのに対し、公認会計士は企業の会計監査を担っているためです。相続問題を相談する際には相続税が問題になるので、公認会計士ではなく税理士に相談しなければなりません。公認会計士と税理士は異なる国家資格なので、公認会計士の会計事務所に行っても、相続税の相談に乗ってもらうことができません。

ただ、最近、公認会計士と税理士の両方が所属している総合的な税務会計事務所や、税理士と公認会計士の両方の資格を持った人が開業している事務所もあるので、そういった事務所であれば、相続税の相談に乗ってもらうことができます。

以上のように、ひと言で相続の専門家と言っても、その内容は非常にさまざまで、取り扱う業務内容が全く異なることがわかっていただけたでしょう。相続問題を相談するには、ケースに応じた適切な相談先を選ぶ必要があります。

それぞれの専門家に相談・依頼できること

以下では、相続問題について、それぞれの専門家に具体的にどのようなことを相談・依頼できるのか、見てみましょう。

司法書士

司法書士に依頼できる内容は、やはり不動産登記が中心となります。具体的には、以下のようなものがあります。

  • 不動産の相続登記(所有権移転)
  • 不動産の抵当権抹消登記
  • 遺言書の作成、遺言執行
  • 遺言書の検認
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続放棄

不動産の相続登記

まず、遺産の中に不動産が含まれているなら、司法書士に不動産登記を依頼することができます。不動産を相続するときには、被相続人から相続人へと不動産の所有名義を移転しなければなりませんし、不動産に抵当権(担保)が設定されている場合には、担保の抹消登記が必要になることもあります。

相続した不動産を売却して現金で遺産を分けたい場合にも、いったん相続人名義に変えてから売却相手に所有権移転登記をしないといけないので、2回に渡って不動産登記が必要になります。

遺言書作成、遺言執行

次に、遺言書の作成や遺言の執行を司法書士に依頼することもできます。遺言執行とは、遺言書の内容を実現してもらうための「遺言執行者」になってもらうことです。遺言執行者がいないと、相続人が自主的に遺言の内容を実現しないといけないので、スムーズに進まないことがありますが、予め信用出来る人を遺言執行者にしておくと、相続人が何もしなくても良くなるので、遺言が実行されやすいです。

たとえば、不動産登記が必要になるケースで司法書士を遺言執行者に定めておいたら、相続人たちがわざわざ司法書士を探して不動産登記を依頼しなくても、遺言執行者の司法書士が相続登記をしてくれます。

遺言書の検認

司法書士に遺言書の検認を依頼することもできます。遺言書の検認とは、家庭裁判所において、遺言書の状態や内容を確認してもらい、保存してもらうことです。

自筆証書遺言や秘密証書遺言のケースで必要となります。これらの遺言は、発見者や他の相続人、第三者によって改変されるおそれがあるので、検認によって発見当初の状態を保存し、その後の変造を防ぎます。検認するためには家庭裁判所への申立が必要ですが、司法書士にはその書類作成を依頼できます。

相続放棄の申述

相続放棄は、遺産の中に借金がある場合などに有効な方法です。相続放棄をすると、プラスの資産もマイナスの負債も含めて一切の遺産相続をしなくなるので、借金を相続せずに済みます。ただ、そのためには家庭裁判所への「相続放棄の申述」という手続きが必要になります。この書類作成代理を司法書士に依頼することができます。

自分で不動産登記できるのか?

司法書士に依頼する手続としては不動産登記が代表的ですが、不動産登記を自分ですることができるのか?という相談が多いです。

できるかできないかというレベルでは「できます」。ただ、司法書士に依頼した方が、圧倒的に楽になります。不動産登記をするときには、膨大な書類の収集が必要になりますし、普通の人は法務局に行ったことがないことも多いです。スムーズに手続きができないため、何度も法務局に行かないといけないので、非常に手間がかかります。

時間がたくさんあり、こうした手続きをすることが苦にならないのであれば自分で不動産登記をするのも良いですが、普段忙しい人や役所での手続きが面倒だと感じるタイプの人は、司法書士に相続登記を依頼した方が良いでしょう。

弁護士

弁護士に相談できるのは、以下のような内容です。

  • 遺言書作成
  • 遺言執行者への就任
  • 遺産分割協議、調停、審判の代理人
  • 遺言書の検認
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続放棄、限定申述の申述
  • 相続人調査、相続財産調査
  • 遺留分侵害額請求
  • 事業承継
  • 仮処分

遺言書作成、遺言執行者への就任

まず、遺言書作成や遺言執行者への就任については、基本的に司法書士のケースと同じです。ただ、弁護士の方が、トラブルを予測してトラブルが起こりにくい内容の遺言書を作成することができます。

司法書士は、基本的に不動産登記の専門家で、法律トラブルの解決能力はありません。そこで、遺産相続問題でも、実際に相続人同士でもめてトラブルになったら、対処してくれず、「弁護士に相談して下さい」と言われてしまいます。

一方、弁護士は、こうしたトラブル解決の専門家なので、たくさんの遺産相続にまつわるトラブルを体験しています。たとえば遺言の場合、後に一部の相続人が「偽造だから無効だ」と言い出してトラブルになることがありますし、遺留分を侵害することにより、法定相続人が遺留分侵害額請求をしてトラブルになることもあります。

弁護士であれば、こうしたリスクを予め予測して、遺言書作成時にも効果的に予防措置をとることができますが、司法書士にはそのようなことができません。

遺産分割協議、調停、審判の代理人

次に、弁護士の大きな特徴は、遺産分割協議や遺産分割調停、遺産分割審判などの具体的なトラブルが起こった場合、代理人として対応してくれることです。このように、当事者の代理人としてトラブル解決ができるのは、数ある士業の中でも弁護士のみです。

弁護士以外の人が報酬をもらって他人の法律問題に介入することは法律によって禁止されていますし、罰則もあります。そこで、遺産分割協議で他の相続人と意見が合わずにトラブルになったら、弁護士に依頼することが有効です。

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書の作成を弁護士に依頼することもできます。遺産分割協議書は、自分たちで作成すると間違いが起こりやすいですが、弁護士に作成を依頼したらそのような危険はありません。

相続放棄、限定承認の申述

相続放棄や限定承認の申述を弁護士に依頼することも可能です。これらの手続きは司法書士にも依頼できますが、特に限定承認の場合、弁護士に依頼することをおすすめします。

相続放棄は、申述が受理されたらすぐに終わりますが、限定承認は、申述が受理された後、相続財産管理人が選任されて、相続財産調査や相続人調査、債権者への支払いなどいろいろな手続きが続くからです。このとき、限定承認の申述を弁護士に依頼して、その弁護士に相続財産管理人になってもらったら、手続きがスムーズに進みます。

相続人調査

弁護士には、相続人調査を依頼することもできます。相続人調査をするときには、膨大な量の戸籍謄本類を集めないといけません。しかもそれらがすべて連続している必要もあるので、素人が集めようとすると、どうしても間に抜けが発生してしまいますし、非常に時間と労力がかかる作業です。また、集めた資料を読み解くのも大変です

。戸籍謄本を集めても、相続人の存在を見逃してしまったら意味がありません。そこで、法律のプロである弁護士に戸籍調査をしてもらうと安心です。弁護士に戸籍調査を依頼したら、相続人間の関係を明らかにした相続関係図も作成してもらうことができます。

相続財産調査

相続財産調査も、弁護士に依頼するとスムーズです。相続財産調査とは、どのような遺産があるかを調べることです。たとえば、被相続人の家の中の財産や預貯金通帳などの資料、郵便物や不動産の名寄せ帳などを参照して遺産内容を明らかにします。

このとき、弁護士であれば「弁護士法23条照会」という手続きを利用できるので役立ちます。これを使うと、官公庁や民間の企業などの各種の団体や個人に対し、いろいろな内容の照会をすることができます。たとえば、相続の場合なら、銀行に照会を出して相続開始前からの取引履歴を出してもらうことができますし、証券会社に照会をして、取引の有無や内容、取引履歴を明らかにしてもらうことも可能です。

他の相続人が預金通帳を取り込んでいて開示しない場合などに非常に有効な手段となります。

遺留分侵害額請求

遺留分侵害額請求をする場合にも、弁護士に依頼することができます。弁護士に依頼すると、相手に内容証明郵便によって遺留分侵害額請求書を送るだけではなく、その後に遺産の返還方法についての話合いもしてくれます。この点、司法書士に依頼した場合には、内容証明郵便の発送までしかしてくれないため、その後の交渉は自分で行う必要があるので、弁護士の方にメリットが大きいです。

遺留分侵害額請求で本当に大変なのは、請求通知を送った後

遺留分の請求者と侵害者は、感情的に対立していることも多いので、スムーズに遺産の返還が行われることは期待しにくいですし、遺産の返還方法をどのようにして行うべきかについても争いが発生することが多いです。当事者にとっては遺留分請求の交渉自体が大きなストレス原因になりますし、遺留分侵害額請求調停や訴訟が必要になるケースもたくさん見られます。

弁護士なら、相手とのやり取りをすべて任せることができますし、弁護士が法的知識を持って主導権を持って交渉をすすめてくれるので、有利な条件で合意ができる可能性が高くなります。遺留分の調停でも調停委員を味方につけやすくなりますし、訴訟になっても弁護士が適切に対応してくれるので、安心できます。自分で交渉しなくて良くなるため、精神的にも落ち着きます。

事業承継

弁護士には、事業承継に熱心に取り組んでいる人が多いです。事業承継とは、中小企業や個人事業者が、次の世代に事業を承継させることです。高齢の経営者に会社の機能が集中している場合などに、特に問題となります。

事業承継では、会社の業務をどのように承継させるのかや、会社の資産の管理方法の変更などとともに、経営者の財産をどのように相続人に相続させるかが重要です。相続人には会社経営にかかわる会社の継承者がいることも多いですが、会社と無関係な相続人もいるため、それらの相続人間の公平も考えないといけません。遺留分の問題も発生します。

このように、事業承継の場面では、法律問題が関わることが多いので、弁護士がサポートしてくれます。自分ではまだどのように進めていけば良いかわからないけれども、悩んでいるのでとりあえずアドバイスがほしい、というケースでも弁護士に相談することができます。

仮処分

遺産相続をするとき、たまに「仮処分」という手続きが必要になることがあります。仮処分とは、裁判所に申立をして、仮に支払いをさせたり権利の保全をしてもらったりすることです。たとえば、相続人の1人が勝手に遺産を処分してしまいそうな場合には、その財産の保全のために仮処分が必要になりますし、銀行や各種の機関などが取引履歴やその他の必要な開示に応じない場合などにも仮処分で開示させることなどができます。

それほどたくさんあることではありませんが、複雑な遺産相続のケースではこうした問題も絡んでくるということです。

行政書士

相続問題を相談できる専門家として、行政書士もあります。行政書士に相談できる内容は非常に限られています。

  • 遺言書の作成
  • 遺産分割協議書作成
  • 相続人調査
  • 車や株式の名義変更手続き

行政書士に依頼できることは、基本的に司法書士や弁護士にも依頼できます。行政書士にしか依頼できない、という業務はないということです。そこで、不動産登記や遺産分割協議などで司法書士や弁護士に手続きを依頼するなら、別途行政書士に相談する必要はありません。

行政書士は、基本的に代書屋なので、書類の代理作成しかできません

遺言書や遺産分割協議書の作成が主な業務となります。ただ、弁護士のようなトラブル解決能力はないので、トラブルを見越した効果的な内容を盛り込むことはできません。行政書士に不十分な遺言や遺産分割協議書を作成してもらい、後でトラブルになったとしても、行政書士は対処できないので弁護士に依頼しなければならないのです。そうであれば、「初めから弁護士に書類作成を依頼していた方がよほどよかった」ということになります。

行政書士に相続人調査を依頼することもできます

不動産の相続登記をするときには必ず戸籍調査が必要になるので、不動産登記を司法書士に依頼しない場合には、面倒な戸籍調査だけを行政書士に依頼するのも1つの方法です。

行政書士に対し、車や株式などの名義変更の手続きを依頼することができます。これらの手続きは難しくないので自分でもできますが、面倒な場合や自信がない場合には、行政書士に手伝ってもらうと良いでしょう。

税理士

税理士に相談できる内容は、以下の通りです。

  • 生前贈与の方法
  • 相続財産の評価
  • 事業承継
  • 相続税の申告
  • 準確定申告
  • 相続税の更正請求

生前贈与

税理士は、税金の専門家ですから、相続税についての相談ができます。相続税については節税方法に関心が高い人が多いでしょうけれど、相続税を節税するためには生前贈与が非常に効果的です。生前贈与には、いろいろな贈与税の控除の制度が設けられていますし、生命保険などを利用した節税方法もあります。そこで、税理士に、お得な生前贈与の方法について相談することができます。

相続財産の評価

相続税に関連して、相続財産の評価も重要です。現金や預貯金などとは異なり、不動産や未上場の株式などの場合、相続税としての評価額が簡単には明らかにできません。不動産の場合には、税制上、評価の減額をしてもらえることも多いのですが、素人が知らない制度もたくさんあります。

たとえば、不整形地である場合、賃貸に出している場合、小規模宅地の場合などには、土地の評価額を大きく減額してもらえることがありますが、減額制度を知らずに高額な評価のまま申告をしても、税務署は注意してくれないので、そのまま高額な相続税を支払うことになります。ここで、税理士に相談して適切な評価減額の制度を教えてもらうことができます。

事業承継

税理士にも、事業承継に熱心に取り組んでいる人が多いです。事業承継をするときには、相続税などの税金が発生することが多いからです。会社組織にしている場合、会社の財産は相続財産になりませんが、株式は相続対象になります。ここで、中小企業には未上場の会社も多いので、株式の評価方法が問題になりやすいです。

また、個人事業の場合には、すべての事業用資産が相続対象となるため、相続税の評価額が大きくなって、莫大な相続税が発生するおそれもあります。

そこで、税理士に相談をして、効果的な節税方法をアドバイスしてもらうことができます。

相続税の申告、準確定申告

税理士に相談する業務と言えば、相続税や準確定申告などの税務申告でしょう。遺産の評価額が基礎控除を超える場合には相続税が発生しますし、被相続人が事業をしていたケースなどでは準確定申告が必要になります。

相続税は、多数の遺産がある場合などには非常に複雑になりますし、適切な控除の制度を適用してもらうためには、税理士に代理してもらう必要性が高いです。準確定申告とは、被相続人が確定申告の義務を負っていた場合に、相続人が代わって確定申告をしなければならないことです。

相続人が事業に無関係である場合などには、何から手をつけて良いかわからないこともあるでしょうから、こうしたケースでは、税理士に準確定申告の依頼をすると良いです。

相続税の更正請求

相続税については、「更生請求」が必要になるケースがあります。更生請求とは、いったん税金の申告をしたけれども、それについて間違いなどがあったときに訂正をすることです。

たとえば、相続税の申告期限までに遺産分割協議ができなかった場合には法定相続分に応じて相続税の申告をして支払いをするのが普通ですが、その後遺産分割協議ができて、自分の取得分が法定相続分より少なくなったら、更生請求をして、払いすぎた相続税の還付を受けることができます。このような、更生請求をするときにも、税理士に代理を依頼することができます。

1回目の相続税申告の際、必要な控除を受けるのを忘れて高額な相続税を支払っている場合でも、更生請求をしたらお金を返してもらえることがあります。心当たりがある場合には、一度税理士に相談に行くと良いでしょう。

自分で相続税申告できるのか?

相続税の申告についても、自分でできるのか?という質問が非常に多いです。

これについても不動産登記と同じで、理屈としては「できます」。ただ、ケースによっては非常に難しくなります。相続税が発生する事案は、かなりケースによって異なります。相続財産が単純でさほど多くない場合なら、自分でも簡単に相続税の計算と申告ができるでしょう。しかし、膨大な数の不動産がある場合や、未上場株式の評価などの難しい判断が必要な場合などには、税理士に相談しないと難しくなります。

税理士に相談して適切な相続税評価をしてもらったら、相続税がかからなくなる場合もあります。遺産相続をしたとき、相続税がかかりそうだと思ったら、一度税理士に相談してみると良いでしょう。

弁護士と他士業との違い

以上のように、相続を相談できる専門家には「弁護士」「司法書士」「行政書士」「税理士」がいます。この中で、「税理士」は、税務に特化した業務を行いますが、他の三者の業務内容は被る部分も多いです。中でも弁護士の権限や取扱範囲が最も広いのですが、具体的にイメージしにくいという人もいるでしょう。そこで以下では、弁護士と他士業との違いについて、まとめてみました。

弁護士と司法書士の違い

弁護士には「代理権」が認められる

まず、弁護士と司法書士の違いを見てみましょう。

一番大きな違いは、弁護士には「代理権」があること

代理権とは、裁判手続きの代理権と交渉の代理権です。弁護士には、代理権があるため、当事者の代理人として遺産分割協議を進めることができますし、家庭裁判所で遺産分割調停や審判をすすめることができます。

相続放棄や限定承認の申述、遺言書検認の申立なども「代理人」として行うことができます。遺留分侵害額請求をするときだけではなく、侵害額請求をされたときにも弁護士に依頼して代理人になってもらい、相手と交渉してもらうことができます。また、裁判の代理権である「訴訟代理権」があるため、遺言が無効だと考えるときに、遺言無効訴訟も起こしてもらうこともできます。

司法書士には「代理権」がない

これに対し、司法書士には「代理権」はありません。そこで、司法書士は本人の代理人として遺産分割協議や調停、審判などをすすめることはできません。遺留分侵害額請求についても、当初の内容証明郵便の作成と発送はできますが、その後の交渉は当事者に自分でしてもらわないといけません。遺言無効確認などの訴訟の代理権もありません。こういった具体的なトラブルが発生してしまうと、司法書士は対処できないので、弁護士に相談に行かなければならないのです。

また、相続放棄や遺言書の検認申立の際も、司法書士ができるのは「書類作成代理」であり、「裁判手続きそのものの代理」ではありません。申立自身は本人名で行われることになります。そもそも、司法書士は簡易裁判所以外で代理権がないため、家庭裁判所での「代理権」が認められていません。

このように、弁護士にはオールマイティーな「代理権」が認められる点において、司法書士と大きく異なりますし、トラブル解決能力にも大きな差が発生してきます。

不動産登記は司法書士の領域

ただ、不動産登記は、司法書士の方が得意です。弁護士も不動産登記はできますが、普通取り扱っていませんので、不動産登記の代理を頼みたいなら司法書士に依頼します。弁護士に遺産分割協議や遺産分割協議書の作成を依頼しても、不動産登記だけは司法書士に依頼する、という人も多いです。

弁護士と行政書士の違い

次に、弁護士と行政書士の違いを見てみましょう。

弁護士と行政書士は、全く違います。行政書士は、他人の書類の代書しかできないからです。遺産分割の代理人になることはできませんし、遺留分侵害額の交渉の代理をしてもらうこともできません。(ただし、遺留分侵害額請求の通知書を作成してもらうことはできます。)

遺言書作成や遺産分割協議書の作成ができるとはいっても、行政書士はトラブル解決能力が低いので、効果的にトラブル予防ができている保障はありません。

行政書士に依頼できることは、基本的に弁護士にも依頼できるので、「行政書士に依頼しなければならない」というプロパーな問題がないのです。ただし、車の名義変更や株式の名義変更などの細々とした手続きについては、弁護士が個別に行わないので、自分でするのが面倒な場合、行政書士に依頼することがあります。

弁護士と税理士の違い

弁護士と税理士は全く違います。職域が被らないと言っても良いでしょう。弁護士は法律問題、税理士は税務問題を取り扱うからです。ただ、生前贈与などの場面において、多少両者の職域が被さってくることはあります。

生前贈与をするときには、贈与者と受贈者の間で「贈与契約」をしないといけないので、法律問題が関わります。また、贈与税が発生しないように注意しなければならないので、税務問題も関わります。

事業承継の場面でも、弁護士と税理士の職域が被ってきます。弁護士は事業承継の法律的な側面から、税理士は税務上の節税方法などの側面から事業承継を援助します。

以上の専門家の業務をまとめると、以下の表のようになります。

専門家の業務まとめ
  弁護士 司法書士 行政書士 税理士
不動産名義変更(相続登記) △(できるけれど、しない人が多い) × ×
遺言書検認 × ×
相続放棄 × ×
相続人調査(戸籍調査)
相続財産調査
金融機関の相続手続き
遺留分侵害額請求 ×(通知書の作成と発送だけなら可能) ×(通知書の策せと発送だけなら可能) ×
事業承継 × × ×
仮処分 × × ×
車や株式の相続手続き
遺産分割協議書作成
相続税申告 税理士資格がある弁護士なら○ × ×

選び方を間違えるとどうなるの?

以上のように、専門家にはそれぞれの特徴があり、依頼できることとできないことがあります。もし間違って相談や依頼をすると、どういった問題があるのでしょうか?

相談するにも相談料がかかるので、費用が無駄に

また、適切に問題を解決できません。たとえば、遺留分侵害額請求をしたいとき、相手との交渉をして全部解決してほしかった事案において、弁護士と行政書士で迷った結果、行政書士の方が費用が安いので、行政書士に依頼してしまったとします。

この場合、確かに、費用は安いのですが、行政書士は相手に通知書を送った時点で業務が終了してしまうので、それ以上の交渉を依頼することができません。結局、自分で対応せざるを得なくなってトラブルが悪化してしまいますし、自分で解決できないなら弁護士に手続きを依頼せざるを得なくなり、行政書士に支払った費用が無駄になってしまいます。

それぞれの相談先に依頼するときのメリット

それでは、専門家に相続問題を依頼すると、それぞれどのようなメリットがあるのでしょうか?以下で見てみましょう。

司法書士

司法書士に相談すると、面倒な不動産手続きをスムーズに進めてくれる点が大きなメリットとなります。

不動産の相続登記をするためには、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本類を集めないといけません。また、法務局に行って登記申請書を作成・提出しなければなりませんし、書類の不備があったら追加で提出したり、訂正したりする必要もあります。

このような手続きは非常に面倒ですが、司法書士に依頼したら、依頼者が何もしなくても登記をしてもらえます。

また、司法書士から遺産相続方法についてのアドバイスを受けることもできます。自分でどのような内容の遺言書を作成したら良いのかわからない場合、自分たちで遺産分割協議を進めるときに、どのように分けるのがベストか判断できない場合などに、司法書士の意見が参考になります。

税理士

税理士に遺産問題を相談する何よりのメリットは、相続税の計算や申告手続きをしてもらえることです。このとき、節税対策も考えてアドバイスをしてもらうことができます。たとえば、まず、相続財産を適正に評価してくれるので相続税の払いすぎを防ぐことができますし、各種の控除や減税の制度を適用してくれるので、より効果的に節税できます。

相続税は、なるべくなら払いたくない人が多いでしょうし、自分では効果的な節税方法がわからないのが普通なので、プロである税理士の意見を聞くことが役立ちます。

また、相続税の申告には相続開始後10ヶ月という期限があります。相続税の計算と申告はも非常に面倒で手間がかかりますが、税理士に任せると、確実に期限内に手続きを終わらせてくれるので、安心です。

また、万一税務調査が入った場合にも、税理士に対応を依頼することができます。税理士は、税務調査に立ち会って税務当局と話をしてくれるので、当事者としては多少とも気が楽になりますし、対処方法を税理士に相談することも可能です。

行政書士

行政書士のメリットは、あまりありませんが、強いて言うなら費用が安いことです。ピンポイントで行政書士だけに細かい手続きを依頼するなら、他士業に依頼するよりも安いことが多いです。ただ、できる業務範囲が限定されている分、割高になる可能性もあり、まとめて1つの手続きを司法書士や弁護士に依頼した方が、全体として得になることがあります。

弁護士

弁護士に相談すると、いろいろなメリットがあります。

トラブル予防に効果的

まず、弁護士に依頼すると、効果的にトラブルを防ぐことができます。弁護士は、日頃からさまざまなトラブルの解決にあたっています。遺産相続問題でも、遺産分割協議や調停、審判などの代理人をしたり遺留分侵害額請求の当事者の代理人になったり、遺言無効確認訴訟をしたりなどしているため、どういったケースでどのような遺産トラブルが起こるかを効果的に予測できます。

そこで、将来を見越してトラブルが起こらないような内容の遺言書を作成してくれますし、遺産分割協議の方法についてもアドバイスしてくれます。

遺産分割の揉め事を解決してくれる

遺産分割協議では、相続人同士の間で意見が合わず揉め事になることが非常に多いです。また、相続人調査において、今までしらなかった父親の前妻の子どもや認知した子どもなどが突然現れてトラブルになることもありますし、死後に遺言が見つかって、愛人などに遺産を残していることが判明してトラブルになることもあります。

このように、遺産分割で揉め事が起こってしまったら、対処できるのは弁護士のみです。自分ではどのように交渉を進めたら良いのかがわからない場合でも、弁護士に依頼したら有利に交渉や裁判手続きをすすめてトラブルを解決してくれます。

間違った対処をせずに済む

遺産分割問題は、法律の専門的な問題が含まれることがあるため、素人判断で行動すると思わぬ不利益を受けることがあります。たとえば、遺産分割協議をすすめるときにも、自分に有利な分割方法に気づかずに相手の言うとおりに合意してしまうこともありますし、気づかないまま自分の不利になる主張をしてしまうこともあります。

また、借金が相続財産に含まれている場合などには、早急に相続放棄をしないといけませんが、自分で対処していると、気づかないまま期間が過ぎてしまって借金の支払をしなければなりません。

弁護士に対応を依頼していたら、こういった間違った対処をしないので、不利益を受けることがありません。

相続問題をまとめて相談できる

遺産相続をするとき、「遺言」「遺産分割協議」「相続人調査」…などの個別の問題を把握していても、ふと「こんなときどうしたらいいんだろう?」と戸惑う場面があります。たとえば、遺言書を発見したときに検認をする方法がわからなかったり、公正証書遺言を探す方法がわからなかったり、遺産に借金があるけれども他の財産は相続したい場合もありますし、他の相続人に自分の相続分を譲りたい場合の対応方法など、素人では判断しにくいケースが結構たくさんあります。

このように、誰に相談したらいいかわからない場合には、とりあえず弁護士に相談に行ったらアドバイスをしてくれます。上記の内容もすべて、弁護士であれば相談に乗ってくれます。

相談先の選び方

以下では、どういったケースでどの専門家に相談すべきなのか、相談先の選び方の一例をご紹介します。

司法書士に相談すべき場合

まずは、司法書士に相談すべき場合を見てみましょう。

相続登記をしたい場合

まずは、不動産を相続したので相続登記をしたい場合です。司法書士に不動産登記申請の手続きを代理してもらいましょう。

抵当権の抹消をしたい場合

相続した不動産に抵当権が設定されていたら、抵当権の抹消登記が必要になることがありますが、このとき、抹消登記手続きを司法書士に代行してもらうことができます。ただし、抵当権を抹消するには被担保債権を完済する必要があります。借金が残っている状態では、司法書士に依頼しても抵当権を消してもらうことはできません。

不動産を売却したい場合

相続した不動産を売却したいときにも、司法書士に依頼すべきです。ただし、売買の相手先を見つけて売却条件の交渉をする業務については、司法書士ではなく不動産業者に売買の仲介を依頼しなければなりません。司法書士に依頼できるのは、不動産の相続登記と売買にもとづく所有権移転登記のみです。

税理士に相談すべき場合

次に、税理士に相談すべき場合を紹介します。

相続税を節税したい場合

まずは、相続税を節税したい場合に相談すべきです。特に資産家で、多くの相続税が発生しそうで心配な場合、元気なうちに一度税理士に相談しておくべきです。生前贈与の方法には、何年もかけて少しずつ贈与をすることによって大きな金額を節税する方法など、時間がかかる手続きもあるため、早めに相談に行っておくと、より効果的に節税することができます。

相続税の申告をするとき

相続税の申告をするときにも、税理士に相談しましょう。自分で申告すると、相続財産の評価が適切にできなかったり、受けられる控除や減税を適用しなかったりして高額な相続税を支払うことになってしまうおそれが高いからです。

弁護士に相談すべき場合

弁護士に相談すべき場合は、さまざまです。とりあえず相続問題で困ったら弁護士に相談に行ってみると良いです。ただ、個別に例を挙げると、以下のようなケースに弁護士に相談に行くことをおすすめします。

遺言書を作成したい場合

遺言書を作成したいなら、まずは弁護士に相談に行きましょう。他士業でも遺言書作成はしてくれますが、弁護士に依頼した方が、よりトラブル予防に効果的な内容の遺言書を作成してくれるためです。また、弁護士に遺言執行者に就任してもらったら、遺言書の内容がより実現しやすいです。

弁護士はトラブル解決能力が高いため、遺言書に反対する人がいたり「遺言書が無効」と言う人がいたりする場合でも、適切に対応して遺言内容を実現出来るよう働きかけてくれます。

他の相続人と揉め事になったとき

遺産分割協議で、他の相続人ともめてしまったら、すぐに弁護士に相談に行きましょう。遺産相続トラブルは、時間が経てば経つほどお互いの感情が激化して解決が困難になります。初期の段階で弁護士に相談して、適切なアドバイスを受けていたら、早期円満に解決することもできて、結局相続人全員の利益になります。

遺産の中に借金があったとき

遺産の中に借金があるとわかったら、すぐに弁護士に相談に行くことをおすすめします。この場合、相続放棄か限定承認するかを検討しなければなりませんが、明らかに資産超過の場合などには、これらの手続きをしない方が良いこともあります。弁護士であれば、ケースに応じて最も適切な方法を選択してアドバイスしてくれます。

遺留分請求をしたいとき

遺言があって自分の遺産取得分が少なくなってしまっているなら、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。この場合、受遺者(遺言によって財産をもらった人)に対し、遺留分侵害額請求という主張をして遺産を返してもらえる可能性があるからです。自分でこのような交渉をすると非常にトラブルが発生しやすいですが、弁護士に対応を依頼すると、弁護士が代理で交渉をしてくれますし、合意ができなければ調停や訴訟に手続きをすすめて、遺留分を取り戻してもらうことができます。

その他、相続問題でどうしたらいいかわからなくなったとき

その他、遺産相続問題で自分ではどうしたらいいかわからない場合には、弁護士にアドバイスをもらいましょう。たとえば、父親が亡くなったときにいきなり知らない子どもが現れた場合、いきなり「死後認知請求」をされた場合、いきなり愛人が現れて遺産を要求してきた場合、他の相続人が預貯金通帳を取り込んで内容を開示しない場合など、あらゆる問題似対応してもらうことができます。

行政書士に相談すべき場合

行政書士に相談すべき場合は、少ないです。費用を抑えて一部の仕事だけを依頼したいときにスポットで依頼することくらいでしょう。

信託銀行に相談する方法は?

相続問題を、信託銀行に相談することも可能ですが、この方法はおすすめなの?と気になる人もいるでしょう。

実は、信託銀行や保険会社などでの相続関連サービスは非常に高額です。しかも、これらの機関では、相続登記や相続税の申告、遺産分割協議などの実際の手続きを代行することはできません。行政書士でもできる戸籍調査さえ、信託銀行にはできないので、これらの手続きについては、別途専門家への費用が必要になります。信託銀行などに依頼できるのは、相談や相続財産の運用管理だけです。

資産家が多額の財産を信託管理してもらうときに、費用のことを考えずにこうした機関を利用する例が多いです。一般の人が信託銀行を利用するメリットはないでしょう。

たとえば、信託銀行でかかる費用の例として、相続財産評価額の1.5%(専門家の費用別、税別)、最低金額108万円などがあります。この場合相続財産が5000万円なら、最低108万円はかかりますし、その他専門家費用と税金、実費がかかるのです。そんなことをするのであれば、自分で財産を管理運営して、自分で専門家を探し、専門家の費用と実費だけを払った方が明らかに得です。

弁護士は、士業の中でも費用が高額なイメージがありますが、信託銀行は弁護士よりもさらに費用が高額です。

それぞれの相談費用について

次に、それぞれの専門家に対して相談や依頼をするとどのくらいの費用がかかるのか、見てみましょう。あくまで参考数値です。

  弁護士 税理士 司法書士 行政書士
相談料 0円〜1万円 0円〜5000円 0円~5000円 0円~5000円
費用 遺言書作成 10万円~
遺産分割協議
【着手金】
10万円〜30万円
【報酬金】
回収できた金額の16%程度
10万円~100万円程度(相続財産の内容で大きく変わる) 相続登記
5万円前後
遺言書作成
5万円程度
遺言書作成 5万円程度
遺産分割協議書作成
5万円程度

相続の相談先はワンストップサービスを受けられる弁護士がおすすめ

以上のように、遺産相続問題を相談したい場合、弁護士であれば比較的広範囲に対応してもらえますし、トラブル予防力や解決力も高いので、非常に役に立ちます。ただ、弁護士は、不動産登記や税務申告をしてくれないので、これらの2つの業務に関しては、どうしても司法書士や税理士に依頼しなければなりません。

弁護士に相談したら、ワンストップで不動産登記の問題や税務申告の問題まで解決できたらいいのに、と感じる方は多いでしょう。

実は、そのような贅沢な希望を叶えてくれる弁護士がいるので、以下ではそういったワンストップサービスを受けられる弁護士をご紹介します。

司法書士、税理士と提携している弁護士事務所

まずは、司法書士や税理士と提携している弁護士事務所があります。こういった弁護士事務所に相続手続を依頼すると、法律問題は弁護士に解決してもらえて、その後不動産登記が必要なときには弁護士に司法書士を紹介してもらえますし、相続税が発生するときには税理士を紹介してもらえるので、自分で司法書士や税理士を探さなくて済み、とても楽です。

こうした弁護士事務所は、ホームページ上に「ワンストップサービスを受けられます」とか「司法書士、税理士と提携しています」「隣接士業と提携しています」などと書いてあることが多いです。相続問題を依頼するなら、なるべくこういった他士業との提携関係がある事務所を探しましょう。

司法書士、税理士が在籍している弁護士事務所

次にご紹介したいのが、司法書士や税理士が在籍している事務所です。弁護士が司法書士や税理士などと共同経営していたり、これらの専門家を雇っていたりします。事務所内に隣接士業がいるので、不動産登記や相続税申告は非常にスムーズです。

当初の相談の段階から、事務所の司法書士や税理士などに一緒に話を聞いてもらえることも多く、事案の内容が伝わりやすいメリットもあります。特に税理士が事務所内にいる場合、事務所名は「法律税務事務所」などと「法律」「税務」の両方に対応していることがわかる名前になっていることが多いです。

税理士業をしている弁護士

数は多くありませんが、弁護士の中には税理士業をしている人がいます。このような弁護士に相続問題を依頼すると、法律問題と税務問題の両方を一挙に相談して対応してもらえるので、非常に大きなメリットがあります。

遺産分割をすすめる際にも、支払うことになる相続税を減らすことを見越して条件交渉をすることができます。単純に弁護士に遺産分割を依頼すると、相続税のことにはあまり考えが及ばないので、とにかく多めに遺産を獲得することに集中してしまいがちですが、税務面の視点も持っている弁護士なら、税金と法律の両方の面を合わせ考えて、最終的に利益のある方法を選択することができます。

相続問題に強い弁護士の探し方

相続問題に強い弁護士を選ぼう!

遺産相続問題を抱えているなら、多くのケースで弁護士に相談すると解決につながりやすいですが、このとき、どのような弁護士でも良いというわけにはいきません。弁護士はあらゆる法律問題を取り扱うので、人によって得意分野が全く異なるためです。

遺産相続問題が得意な弁護士もいれば、借金問題や離婚問題、交通事故案件や労働問題などが得意な弁護士もいます。相続問題が得意でない弁護士に遺産相続の問題を相談しても、スムーズに解決してもらうのは難しいです。そこで、相続問題を相談するなら、相続が得意な弁護士を探しましょう。

遺産相続に強く評判の良い弁護士事務所を探す

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ホームページをチェックして弁護士を探そう!

弁護士を探す方法にはいくつかの種類がありますが、今は多くの弁護士事務所がホームページを公開しているので、その情報を参照してみるのが最も確実で簡単です。ホームページには、それぞれの特徴が出ているので、相続問題が得意な弁護士も探しやすいです。たとえば、トップページに相続問題についての記載があったり、相続関係のコラムが充実していたり、重点取扱分野に「遺産相続」が含まれていたりする弁護士は、相続問題に力を入れていることが多いです。遺産相続が得意な弁護士は、相続問題についての無料相談を受けてくれることもよくあるので、そうした事務所を利用すると、費用をかけずに遺産問題に強い弁護士のアドバイスを受けられるので、非常に役に立ちます。

弁護士にいきなり電話をするのが怖い、という人もいるかもしれませんが、最近の弁護士は丁寧で物腰も柔らかく親身に相談に乗ってくれる人も多いので、恐れる必要はありません。

今、遺産問題をかかえて困っているなら、まずはホームページを検索して相続問題に強い弁護士を探し、無料相談の申込みをしましょう。

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