成年後見制度の仕組みと利用ケース~遺産相続の後見人制度

成年後見制度

遺産相続において成年後見制度の利用が必須となる場面があります。それは、遺産分割協議を行う際、認知症などが原因で正常な判断ができない相続人がいる場合です。無視して進められるのでは?と考える方もいらっしゃいますが、遺産分割協議は相続人全員参加が前提で、勝手に進めることはできません。

そこで今回は、成年後見制度の仕組みと申立方法、利用ケースについてご説明します。

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、自らの意思で正常な判断ができなくなってしまった方(いわゆる認知症の方や、交通事故などが原因で植物状態になってしまった方など)が、自身の代わりに第三者に判断してもらうことで、法的な手続きを行えるよう作られた制度です。

成年後見制度がないとこんな問題が・・・

では、この成年後見制度はどういった場合に役立つのでしょうか?以下にて、簡単な具体例を出してみましょう。

成年後見人がいないと困る例

Aさんは高齢のため認知症が進み、自らの意思で正常な判断ができなくなってしまいました。これを良いことに、BさんはAさんに不動産を不当な価格で売買するように迫りました。本来であれば売買成立するような価格ではありませんが、Aさんは自らの意思で正常な判断ができないため、Bさんに不動産を不当な価格で売買してしまったのです。
その結果、Aさんは多大な損益を被ってしまいました。
正常な判断ができないと、こういった問題を引き起こしてしまうのです。

成年後見人が財産を守ってくれる

上記の例の場合、Aさんの代わりにCさんという成年後見人を選任させることで、Aさんの行う法的手続き(今回の例でいえば不動産売買契約)をCさんが代わりにできるようになります。当然、本来であれば売買が成立するような金額ではないため、成年後見人であるCさんの判断で、AさんとBさんの契約は不成立になるというわけです。

成年後見人Cさんがいることで、Aさんは損益を被る必要がなくなり、自らの財産を守ることができました。これが成年後見人の代表的な職務の1つです。

遺産相続と成年後見制度

では、遺産相続と成年後見制度にはどういった関係があるのでしょうか?上記の例だけを見ると、遺産相続とはまるで関係がないようにも見えます。しかし、実際に遺産相続と成年後見制度には密接な関係があるのです。

遺産相続に遺産分割協議は付き物

遺産相続の際、亡くなった方が生前に遺言書を作成していれば、遺産の行方は原則としてその遺言書の通りとなります。しかし、遺言書は必ず作成されているものではありません。遺言書が作成されていなかった場合、遺産の行方は相続人全員参加による「遺産分割協議」にて決めなければなりません。

相続人に判断能力がない方がいたら・・・

相続人の一人が勝手に判断し、勝手に遺産を分配することは認められていません。そして、遺産分割協議は相続人が一人でも欠けていたら無効となります。

ここで注意したいのが、「相続人が欠ける」というのは、なにもその相続人が見つからないといったケースだけでなく、その相続人に判断能力が欠けている場合も指しています。つまり、正常な判断ができない方は、遺産分割協議に参加できないのです。

遺産分割協議ができなくなる

もう察しのいい方はお気づきだと思いますが、判断能力が欠けている相続人が一人でもいた場合、遺産分割協議自体が進められなくなります。

自らの意思で正常な判断ができないということは、自身が不利な条件で遺産分割協議をされていることすらわからないということ。かといって、その方を無視して遺産分割協議を進めていい決まりはありません。遺産分割協議において、すべての相続人は平等に取り扱われるのが原則です。このまま遺産分割協議を進めてもすべて無効となります。

遺産分割協議を進めるためには

上記のような場合に登場するのが、「成年後見人」です。成年後見人が本人の代わりに遺産分割協議に参加し、話し合いを進められるようになります。
成年後見人は、被成年後見人(正常な判断ができない方)の代わりに遺産分割協議に参加するだけでなく、時には不利益を被らないように意見しながら財産を確保します。

成年後見人を選任させる方法

上記のように、遺産分割協議において成年後見人は欠かせない場面は現実にあります。では、この成年後見人はどのようにして選任させれば良いのでしょうか?

成年後見人の選任手続きは家庭裁判所

成年後見人の選任手続きは家庭裁判所にて行います。この際に必ず注意しなければならないのが、同じ相続人という立場の方では成年後見人になることができないという点。なぜなら、「利益相反」が発生してしまうからです。

利益相反とは?

たとえば、被成年後見人と成年後見人が同じ相続人という立場になってしまうと、成年後見人が多く財産を得た分だけ、被成年後見人が得る財産が少なくなる、という関係が成り立ってしまいます。どちらかが得をすると、どちらかが損をしてしまうのです。

これを利益相反といって、同じ人物が同じ立場になって手続きを行うと必ず生じることになります。法ではこの利益相反行為を禁止しているのです。

対象相続とは関係ない方に選任させる

そこで、遺産分割協議のために成年後見人を選任させるのであれば、対象となる相続とは関係ない立場の方に選任してもらうしかありません。たとえば、対象相続とは関係ない立場にいる親族や、まったくの第三者に選任してもらわなければなりません。

とはいえ、後のトラブル防止までを考えるのであれば、法律の専門家に成年後見人になってもらうというのも1つの方法です。親族であれば、少なからず感情が行き交うことになりますが、専門家であれば法律というフィルターを通した上で正しい判断をしてくれます。

トラブルに発展してしまえば、一度成立した遺産分割協議が無効になりかねません。どうしても心配な方は、一度専門家に相談してみることをおすすめします。

成年後見人選任手続きについて

では、成年後見人選任手続きについても具体的に見ていきましょう。
まず、申立をする家庭裁判所は、被成年後見人の住所地を管轄している家庭裁判所です。
そして、以下の必要書類を集め、裁判所の窓口に提出しなければなりません。

成年後見人選任手続きの必要書類
  • 申立書(後見開始申立書)
  • 申立書付票(申立書の内容を補うための質問票のようなもの)
  • 後見人等候補者身上書(成年後見人の候補者を指定)
  • 親族関係図(被成年後見人の親族関係がわかる図)
  • 本人の財産目録(遺産分割協議の対象財産もここで報告)
  • 本人の収支予定表(本人の収支状況について報告)
  • 診断書(正常な判断能力に欠けているとわかるもの)
  • 本人の現在戸籍謄本と住民票もしくは附票
  • 候補者の住民票もしくは附票
  • 本人が成年後見等の登記がまだされていない証明書(東京法務局にて取得)
  • その他、事情がわかる資料や、裁判所から指示された資料
成年後見人選任手続きの費用
  • 申立書貼付の収入印紙800円
  • 登記手数料の収入印紙2600円
  • 郵便切手4000円程度(裁判所毎に若干の違いあり)
  • 鑑定費用10万円(必要ない場合もあり)

申立サポートは専門家に依頼

上記のように、成年後見人選任手続きには多くの書類が必要となってしまいます。すべて自身で集めるとなると簡単な作業ではありませんし、裁判所にも足を運ばなければなりません。手続きが煩わしい方は、申立サポートとして専門家に依頼するというのも1つの手です。専門家に依頼したからといって、なにも候補者に挙げなければならないわけではなく、単に申立だけを手伝ってもらうことも可能です。

相続人に認知症の方がいて困っている方は、まず専門家に相談してみましょう。

未成年者がいる場合も後見制度を利用

なお、未成年者の相続人がいる場合は、今回の成年後見人ではなく「未成年後見」という制度を利用します。未成年者は未熟で法的な判断ができないとされ、遺産分割協議への参加ができません。手続きを進めるには、未成年後見の利用が必須と覚えておきましょう。

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