相続財産管理人とは|選任の流れ、権限、費用を解説

相続財産管理人

人が亡くなったとき、誰も相続人がいないケースがあります。このような場合には、遺産を管理する人がいないので、相続財産管理人という人を選任する必要があります。そこで今回は、相続財産管理人を選任すべき場合と役割、選任方法や手続きの流れについて、解説します。

相続財産管理人とは

相続財産管理人とは、遺産を管理する業務を行う人のことです。遺産相続が起こったとき、通常は相続人が遺産の管理を行い、遺産分割協議を行って遺産を分配します。被相続人が借金をしていたら、相続人らが遺産の中から支払ったり、足りない分は自分で支払ったりします。そこで、放っておいても遺産はきちんと管理されますし、債権者への支払いや処分も行われます。

相続人がいないケースで適切に相続財産を管理

しかし、中には天涯孤独で相続人がいない人もいます。また、相続人が全員相続放棄をして、相続人がいなくなってしまうケースもあります。このような場合には、放っておくと誰も遺産を管理しませんし、債権者への支払いも行われません。

また、所有者のいない財産は最終的に国のものになりますが(民法239条2項、民法959条)、相続財産が放置されている場合、誰かが国庫に帰属させる手続きをしない限り、自然に財産が国のものになることもありません。

そこで、誰かに相続財産を適切に管理させて、必要な支払いや国庫に帰属させる仕事行わせる必要があります。その仕事をするのが、相続財産管理人です。

相続財産管理人は、相続人が存在せず、誰も相続財産を管理しない状態になったときに、自ら相続財産を管理して必要な支払いを行い、最終的に財産を国庫に帰属させる役割をします。相続財産管理人は、家庭裁判所の審判によって選任されます。

相続財産管理人を選任すべきケース

それでは、相続財産管理人を選任すべきケースには、どのような場合があるのでしょうか?以下で見てみましょう。基本的には以下の2つのケースです。

誰も相続人がいないケース

被相続人に法定相続人となることができる親族がまったく存在せず、遺言もない場合には、相続財産管理人の選任が必要です。

全員相続放棄したケース

もともと相続人がいても、相続人が全員相続放棄をしてしまったら、相続財産を管理する人がいなくなってしまうので、相続財産管理人の選任が必要です。

相続財産管理人を選任するパターン

次に、具体的にどのようなケースで相続財産管理人の選任を申し立てることが多いのか、そのパターンを見てみましょう。

①相続放棄したけれど財産管理しているケース

相続財産管理人の選任申立をするのは、相続人が全員相続放棄した場合が多いですが、この場合、申立をするのはもともとの相続人です。もともと相続人だった人は相続放棄によって、遺産を相続することがなくなります。

しかし、相続しなくなったからと言って、遺産の管理義務まで無くなるわけではありません。
相続放棄した人は、相続財産が適切に管理されるようになるまで、自分の財産と同一の注意義務を持って遺産を管理する義務を負います(民法940条)。

もし、不注意によって財産を毀損したら債権者などから損害賠償請求を受けるかもしれませんし、不動産の管理不行き届きで周辺住民に損害を与えたりすると、やはり損害賠償請求を受ける可能性もあるのです。

このような財産管理義務から解放されるには、相続財産管理人を選任する必要がある

相続財産管理人が選任されたら、財産を引き渡すことができるので、相続放棄した人の財産管理義務がなくなります。このように、相続放棄をしても、相続財産管理人を選任しないと、その義務を免れることができないことには、十分注意が必要です。

②債権を持っているケース

相続財産管理人を選任するパターンとしてよくあるのは、債権者による申立によるケースです。

債権者とは、被相続人に対して債権を持っていた人です。典型的なのは、被相続人に貸付をしていた人や会社です。この場合、相続人がいたらその相続人が遺産の中から支払をしてくれますが、相続人がいないと誰も支払をしません。かといって、勝手に遺産の中から回収することもできません。裁判を起こすにも、相手がいないので手続きができません。

そこで、相続財産管理人を選任して、財産の管理と支払いをしてもらう必要があります。

相続財産管理人が財産管理を始めたら、債権者は債権の存在を証明して、必要な支払をしてもらうことができます。

③特別縁故者のケース

相続財産管理人を選任するパターンの3つ目は、特別縁故者のケースです。
特別縁故者とは、法定相続人ではないけれども、被相続人と特別な関係にあった人のことです。たとえば被相続人と生計をともにしていた内縁の配偶者やその他の人、被相続人を献身的に介護していた人などです。

これらの特別縁故者には、一定限度で遺産から分与を受けることができますが、そのためには相続財産を管理して分与の手続きをしてくれる人が必要です。

勝手に自分で遺産をとっていくことは違法です

そこで、特別縁故者がいる場合にも、相続財産管理人の選任が必要になります。特別縁故者の場合、債権者のように初めからはっきり決まっているものではなく、最終的に家庭裁判所で認めてもらわないと遺産の分与を受けることはできないので、選任申立の段階では、利害関係人として相続財産管理人の選任申立をします。

相続財産管理人の選任方法

次に、相続財産管理人の選任方法を説明します。

まずは申立を行う

相続財産管理人を選任するときには、被相続人の最終の住所地を管轄する家庭裁判所で、相続財産管理人の選任申立の手続きをします。そのためには、相続財産管理人の選任申立書を作成して必要額の収入印紙を貼付します。申立書については、家庭裁判所のホームページに書式と記載例が載っているので、参考にして作成しましょう。

そして、必要書類を用意して、予納郵便切手を添えて、家庭裁判所に提出します。

審理が行われる

申立が済むと、家庭裁判所で申立が受理されて、相続財産管理人が必要なのかどうかについて審理が行われます。必要に応じて申立人に追加書類の提出を求めることもありますし、関係機関に照会して調査を行うこともあります。

選任の審判が行われる

このようにして、最終的に裁判所が相続財産管理人が必要であると判断したら、相続財産管理人が選任されます。相続財産管理人の選任は、「審判」という方法で行われます。相続財産管理人選任についての審判が出たら、申立人の元に「審判書」が送られてきます。これを見ると、相続財産管理人が選任されたかどうか及び、選任されたとしたらその氏名や住所などがわかります。

選任が認められる要件

次に、相続財産管理人が選任されるための要件を確認しましょう。どのようなケースでも相続財産管理人が認められるわけではなく、要件を満たさなければ、選任申立をしても却下されてしまいます。相続財産管理人が認められるには、以下の要件が必要です。

  • 相続手続きを行う必要がある
  • 遺産が存在する
  • 相続人の有無が不明(戸籍調査をした結果、相続人が不存在であることが必要です)

そこで、相続財産管理人を選任する前に、まずは戸籍調査によって相続人調査を行い、それでも相続人が見当たらないときに相続財産管理人選任を申し立てることが必要です。

戸籍調査をすると、自分の知らない相続人が現れることもあり、そのようなケースではその人に遺産を引き継ぐことになります。

選任申立ができる人

次に、相続財産管理人の選任申立をすることができるのはどのような人なのか、申立権者を確認します。これについては、以下の通りです。

  • 利害関係人
  • 検察官

利害関係人には、債権者や特別縁故者、特定遺贈によって遺贈を受けた受遺者などが含まれます。

選任申立の必要書類

相続財産管理人の選任申立のためには、たくさんの書類を集めないといけません。そこで、以下では申立ての際の必要書類を紹介します。

  • 被相続人が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 被相続人の父母が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 被相続人の子どもや孫で死亡している人がいる場合、その子どもや孫の生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 被相続人の直系尊属(親など)の死亡が記載されている戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 被相続人の兄弟姉妹のうち、すでに死亡している人がいる、その兄弟姉妹の生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 代襲者としての甥や姪で、すでに死亡している人がいる場合、その甥や姪の死亡が記載されている戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票か戸籍附票
  • 財産を証明する資料

不動産があれば不動産登記事項証明書、未登記の不動産の場合には固定資産評価証明書7預貯金や有価証券があれば残高が分かる書類(通帳写しや残高証明書等)

  • 利害関係人による申立の場合には、利害関係を証明する資料
  • 親族なら戸籍謄本(全部事項証明書)、債権者なら金銭消費貸借契約書
  • 財産管理人の候補者がいるなら、その人の住民票か戸籍附票

申立の際に足りない部分があれば、審理中に家庭裁判所から追加で資料提出の指示があります。必要書類はケースによっても異なるので、わからない場合には弁護士に相談することをおすすめします。

選任申立の費用

次に、相続財産管理人選任申立の際にかかる費用を見てみましょう。

申立費用:収入印紙800円

相続財産管理人の選任申立のためには、裁判所の手数料がかかります。金額は800円ですが、これは収入印紙の形で支払う必要があります。申立の際に、郵便局などで収入印紙800円分を購入して、申立書に貼付して提出しましょう。

予納郵便切手

申立の際、予納郵便切手が必要です。具体的な金額と内訳は、全国の家庭裁判所によって異なりますので、相続財産管理人選任申立をするときには、申立先の家庭裁判所に電話(もしくは実際に訪ねていって確認することもできる)をして、予納郵便切手の金額と内訳を確認する必要があります。

官報公告費用:3,775円

相続財産管理人が選任されると、そのことが政府の刊行誌である「官報」に掲載されます。このことを「官報公告」と言います。そのために、3,775円が必要です。官報公告費用については、裁判所で相続財産管理人の選任が行われるときに納入用紙が渡されるので、それを使って裁判所に納めます。

予納金

計算

予納金とは

相続財産管理人が選任されるとき、予納金という費用がかかるケースがあります。予納金とは、相続財産管理人の経費や報酬に充てるための費用です。

相続財産管理人は、相続財産を管理して債権者などに支払いを行い、国庫に帰属されるという作業をしないといけません。そのためにはいろいろな経費が必要ですし、このような手間をかける分、報酬を支払う必要もあります。遺産が十分あってこれらの経費や報酬に足りるなら特に問題になりませんが、遺産の額が少ない場合には、経費や報酬を支払えない可能性が高くなります。

そこで、その支払いができない場合にそなえて、予め申立人に予納金の支払いを行わせて相続財産管理人の報酬を担保するのです。

相続財産管理人の業務が終了した時点で、遺産から十分に支払いが出来る場合には予納金は返ってきますが、足りない場合には予納金から支払いが行われるので、返ってこなくなります。

予納金の金額

予納金の金額は、事案の内容に応じて家庭裁判所が決定します。安いときには20万円程度で済むこともありますが、100万円程度になることも多いので、それなりの負担になります。相続財産管理人を選任してもらうときには、高額な予納金が必要になる可能性があることも理解しておく必要があります。

相続財産管理人は何をすることができるのか?

相続財産管理人が選任されると、具体的に何をすることができるのか、その権限を確認しておきましょう。

相続人の調査

相続財産管理人の主な仕事の1つは相続人の調査です。これによって相続人が発見されたら、その人に財産を引き渡します。

相続財産の調査

相続財産管理人は、漏れている遺産がないかどうかを調査するので、調査のために必要な権限を持っています。

相続財産の管理や換価

相続財産管理人の主な仕事の1つが、相続財産の管理と換価です。

たとえば不動産や骨董品などの財産を適切に管理したり、預貯金を解約したりしていきますが、そのために財産を管理・処分する権限を持ちます。

相続財産から必要な支払いを行う

相続財産の換価が終わったら、債権者や受遺者、特別縁故者に対し必要な支払いを行いますので、そのための権限を持ちます。

国庫に帰属させる

最終的に国庫に帰属させるのも、相続財産管理人の仕事です。

相続財産管理人の仕事の流れ

次に、相続財産管理人が選任された後の相続財産管理人の仕事の流れを確認しておきましょう。

相続財産管理人の選任を官報公告する

相続財産管理人が選任されたら、そのことが官報公告されます。官報とは、政府が発行している新聞のような刊行物のことです。官報に相続財産管理人が選任されたことを載せることを官報公告と言いますが、これによって相続財産管理人が選任されたことを世の中に知らしめることができると考えられています。

相続財産の調査と管理

相続財産管理人が選任されると、まずは相続財産を調査し、すでにあるものについては引継ぎを受けて、管理を開始します。そして、具体的にどのような財産があるのか明らかにして、財産目録を作成します。

相続財産調査の方法

相続財産を調査する際には、本人の資産を把握している家族や近親者がいる場合には、それらの人から事情を聴取します。そのような人がいない場合、相続財産管理人が、一からら資産調査をします。本人の自宅がある場合には、自宅内に立ち入って調べることもあります。自宅もない場合には、本人の最終の住所地の近くに支店がある金融機関に照会して、財産が無いか調べることもあります。

相続財産の管理と換価の方法

相続財産の管理と換価の方法を見てみましょう。不動産があれば、相続財産に名義変更をしますし、公共料金の支払いをすることもあります。管理のための火災保険に加入するケースもあります。預貯金や生命保険などは解約して相続財産管理人の名義の口座に入金します。

不動産や有価証券、その他の動産など価値があるものは売却して換価し、相続財産管理人の口座に入金します。衣類や家財道具などについては、家庭裁判所の許可によって廃棄処分にするのが普通です。このようにして、遺産を換価して一元化していきます。

相続債権者と受遺者に対する請求申出の公告

相続財産管理人が選任されて公告が行われてから2ヶ月以内に相続人が現れない場合には、相続財産管理人は、相続債権者と受遺者を探す必要があります。そこで、これらの人に対し、請求や届出の督促をします。そのためには、また官報公告を利用します。具体的には、相続債権者と受遺者宛に、一定期間内に債権届出や遺産分与請求の申出をするよう促す掲載をします。

すでに明らかになっている相続債権者と受遺者がいる場合には、それらの人に対し、個別に請求申し出の連絡をします。

相続債権者と受遺者への支払い

相続債権者と受遺者への請求申出の公告(と個別の連絡)によって債権者や受遺者から届出があったら、その内容にしたがって支払いをします。この場合、まずは債権者に、次いで受遺者に支払をします。資産よりも債務の方が多くなっていて債務超過のケースでは、相続債権者に対し、按分で配当をします。その結果、相続財産がなくなったら、相続財産の管理業務は終わります。

期間内に債権者や受遺者が届出をしなかった場合でも、期間内に支払いをして残った財産があれば、そこから支払いを受けることができます。あまりがなければ支払いは受けられません。

相続人捜索の公告の請求

「相続債権者と受遺者への請求申出の公告」をしても、期間内に届出が行われず、相続人もいない場合には、相続財産管理人は家庭裁判所に対し、相続人捜索の公告の請求を行います。なお、相続財産にあまりがないケースでは相続人捜索の公告は行われません。

相続人捜索の公告の請求があると、家庭裁判所は、また官報に公告をします。そして、期間中に相続人からの届出がない場合、相続人がいないことが確定します。

特別縁故者への相続財産の分与

家庭裁判所に対して相続人捜索の公告請求をしても相続人から届出がなく、相続人の不存在が確認されたら、3ヶ月以内に特別縁故者による相続財産分与の申立ができる状態になります。内縁の配偶者などの特別縁故者がいる場合には、この3ヶ月間に相続財産分与の申立をして、家庭裁判所に遺産の分与を認めてもらう必要があります。家庭裁判所が特別縁故者であることと遺産の分与を認めたら、相続財産管理人はその決定内容にしたがって、特別縁故者に対する遺産の分与を行います。

相続財産管理人への報酬支払い

相続財産管理人の業務が終了したら、相続財産管理人自身が家庭裁判所に対し、報酬付与の申立てをします。これを受けて、家庭裁判所は相続財産管理人の報酬を決定します。このとき、事案の難易度や相続財産管理人の行った仕事の内容などによって金額を決めます。ケースによって報酬額はかなり異なりますが、一般的には以下のようになることが多いです。

  • 受任者が親族の場合には報酬なし
  • 受任者が弁護士や司法書士、行政書士などの場合、月額報酬が1~5万円程度となる

残余財産を国庫に帰属させる

相続財産管理人が報酬を受け取ったあと、さらに財産が残っている場合には、そのあまった相続財産は国のものになります。相続財産管理人は、国庫に帰属させる手続きを行います。

管理業務終了の報告をする

最終的に国庫への帰属手続きを終えて、相続財産管理人の業務がすべて終了すると、相続財産管理人は管理終了報告書を作成して家庭裁判所に提出します。これで、すべての相続財産管理人の業務が終了します。

相続財産管理人の選任を不要にする方法

以上のように、相続財産管理人が選任されると、手続きが非常に複雑になります。申立の際に多額の予納金が必要になって、返ってこないケースもあります。自分が本当に天涯孤独で誰も相続する人がいない場合には仕方がありませんが、相続人がいなくても、相続させたい人がいるケースがあります。

たとえば、内縁の配偶者がいる場合やお世話になった人がいる場合、相続人にはなっていない親族がいる場合などが考えられます。このようなケースでは、できれば相続財産管理人の選任をしないで相続手続きをする方法を考えておくべきです。以下では、相続財産管理人の選任を不要にするための工夫や方法を紹介します。

遺言を利用する

遺言書

相続財産管理人が選任されるのは、相続人が誰もいないからです。そこで、遺言を上手に活用することによって、相続財産管理人を不要にすることができます。遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。包括遺贈とは、遺産の全部を〇〇に遺贈する、などと割合を指定して遺贈する方法です。特定遺贈とは、〇〇の預貯金を遺贈する、などの方法で特定の遺産を遺贈する方法です。

遺言がある場合でも、特定遺贈の場合には、遺贈のために相続財産管理人が選任されることになってしまいます。これに対し、包括遺贈の場合には、受遺者は相続人と同じ権利義務を持つので、相続財産管理人の選任が不要になります。

そこで、内縁の配偶者などがいて、遺産を残したい人が決まっている場合には、包括遺贈をしておくと、わざわざ相続財産管理人を選任しなくても遺産の分与ができて、簡便ですし、無駄な費用もかかりません。

また、特定遺贈であっても、遺言執行者を指定しておけば、遺言執行者が遺贈の手続きを行うことができるので、遺言執行の限度では相続財産管理人の選任が不要になります。このように、遺言を活用すると、相続財産管理人の選任なしに遺産を望む人に残すことができて、メリットが大きいです。

養子縁組をする

次に、相続人がいない人が相続財産管理人の選任を避けたい場合には、養子縁組をしておくことも役立ちます。
たとえば、相続権のない親族などがいる場合、そのまま何もせずに死亡したら、その人は利害関係人として相続財産管理人の選任申立をして、それが認められたあとさらに特別縁故者への遺産分与の申立をして、それが認められないと遺産の分与を受けることができません。しかも、そのときに認められる金額は家庭裁判所が決定する金額となります。

このようなことを避けるためには、遺産を残したい人と養子縁組をしておくと良いです。養子と養親は遺産相続件を持つので、養子縁組をすると、何もしなくてもその人が遺産相続することができるからです。

ただ、高齢者が判断能力が低下しているときに、近くにやってきて養子縁組をして、遺産を取得しようとする、悪い考えを持った人や組織もあります。養子縁組をするのは、知らない他人ではなく、昔からよく知っている親族(相続権のない人)や本当に信頼できる人に限るべきです。

相続財産管理人の選任や活用方法がわからないなら弁護士に相談しましょう

以上のように、相続財産管理人が必要になるのは、基本的に相続人がいないケースですが、相続人が全員相続放棄したケースでも選任が必要です。特別縁故者が遺産の分与を受けるためにも相続財産管理人の選任が必要になります。相続財産管理人の選任を申し立てる際には、たくさんの必要書類が要りますし、高額な予納金が必要になるケースもあります。また、選任後の手続きの流れも複雑で、たとえば特別縁故者が財産分与を受けるまでにはかなりの時間がかかってしまいます。

また、自分が天涯孤独で将来相続財産管理人が必要になりそうなケースでも、死後の手続きが心配になることがあるでしょう。

相続財産管理人が必要なケースにかかわってしまうと、遺産相続の手続きでいろいろな悩みが発生することが多いです。この場合、自分では適切な対処方法がわからないことも多いので、弁護士に相談してアドバイスをもらうことが役に立ちます。今、相続問題で悩んでいる場合には、一度早めに相続問題に強い弁護士に相談に行くことをおすすめします。

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