遺産分割協議書とは~相続後の争い回避に効果的!書類の目的と作成方法を徹底解説

遺産分割協議書

遺産相続をするとき「遺産分割協議」を作成することが多いですが、これは何のために作成するものなのでしょうか?どのような場面で必要になるのかや、作成方法についても押さえておく必要があります。今回は、遺産分割で必須の知識となる「遺産分割協議書」について、徹底的に解説します。

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遺産分割協議書とは

そもそも、遺産分割協議書とはどのような書類なのでしょうか?

遺産分割協議書とは遺産分割協議が行われたときに、その内容をまとめた書類

遺産相続が起こったとき、相続人が一人ならその人がすべての遺産を相続しますが、相続人が複数いたら、誰がどの遺産を相続するのかを決定しなければなりません。そこで、相続人全員が集まって遺産分割協議という話合いを行います。

全員が合意できたら遺産分割協議自体は終了しますが、どのような内容で合意したのかが明らかにしておかないと、後でトラブルになるおそれがあります。

そこで、作成するのが遺産分割協議書です。

このように、遺産分割協議書は、相続人全員が合意した内容を明らかにするものであり、1種の「契約書」のような性質を持ちます。また、遺産分割協議書によって、対外的にも協議の内容を証明することになるので、遺産分割虚偽書は、1種の「証明書」のような性質も持ちます。

遺産分割協議が必要になるケース

遺言

相続が起こっても、必ずしも遺産分割協議書が必要になるわけではありません。遺産分割協議書を作成するのは、相続人同士で遺産分割協議が行われたケースに限られるためです。以下では遺産分割協議書が必要になるケースについて説明します。

遺言がない場合

遺産分割協議書を作成するのは、遺言がないケース

遺言によってすべての遺産の相続人や受遺者が指定されていたら、その内容の通りに遺産が相続されるので、法定相続人が話し合って遺産分割協議をする必要がありません。そこで、遺産分割協議書も不要です。

一部の相続財産しか遺言で指定されていないケース

ただ、遺言があっても、そこで一部の相続財産についての処分方法しか指定されておらず、残りの遺産については法定相続人が話し合いで相続方法を決めないといけない場合には、その残りの分について遺産分割協議が必要ですし、遺産分割協議書を作成する必要もあります。

また、すべての遺産について遺言による相続分の指定が行われていても、相続人全員が合意してそれと異なる分割方法を定めることは可能です。その場合には、やはり遺言があっても遺産分割協議が必要ですし、遺産分割協議書を作成しなければなりません。

相続人が複数いる場合

次に、遺産分割協議書が必要になるのは、相続人が複数のケースです。遺言がなくても、相続人が1人しかいなければ、その相続人がすべての遺産を相続することが明らかなので、遺産分割協議をしませんし、遺産分割協議書を作成することもありません。

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遺産分割協議書を作成する目的

それでは、遺産分割協議書は、どのような目的で作成するものなのでしょうか?以下で見てみましょう。

後のトラブルを防止する

遺産分割協議書を作成する目的の1つは、後のトラブルを防止することです。

相続人同士で遺産分割協議をするとき、協議がまとまるためには全員の合意が必要です。合意ができずにトラブルになることも多いですし、相続人の人数が多かったり手続きに非協力的な人がいたりする場合などは、協議を進めるのは非常に大変になります。

そんな中、苦労をしてようやく全員の合意ができたとしても、遺産分割協議書を作っていなかったら、その後ある相続人が「そんな合意はしていない」「やっぱりその財産もほしい」などと言い出して、紛争を蒸し返すおそれがあります。そんなことになったら、いつまで経っても遺産問題が解決されません。

将来の「合意していない」といった言動を防ぐことができる

そこで、遺産分割協議書を作成することにより、その内容に反する相続人の言動を封じ、将来のトラブルを防止することができます。もし「合意していない」と言われても、遺産分割協議書にはその相続人も署名押印しているのですから、そのような勝手な言動は通用しません。

遺産分割の内容を明らかにする

遺産分割協議書を作成すると、遺産分割協議の内容を明らかにすることができます。単に合意ができているだけであれば、当事者の頭の中には合意内容が入っていても、説明されない限り第三者にはわかりませんし、たとえ説明されたとしてもそれが嘘かもしれません。

ここで、相続人が全員署名押印した遺産分割協議書を作成することにより、対外的に遺産分割協議があったこととその内容を証明することができます。

たとえば、骨董品や貴金属などの相続財産を売却したいとき、本当に権利者かどうかを疑われることがありますが、遺産分割協議書があったら自分が正当な権利者であると説明することができます。

遺産分割協議の内容を正確に保存する

遺産相続が起こるとき、遺産の内容は複雑であることが多いです。

不動産が複数あることもありますし、預貯金口座や株券、自動車など多くの遺産があり、相続人も4人以上の多数に及ぶこともあります。このような場合、人の記憶だけでは、誰がどの遺産をどのような方法で取得するのかを正確に保存するのは難しいですし、ときが経つと、そういった記憶は失われてしまいます。

そこで、遺産分割協議書という書面において、遺産分割の内容を書き留めておくことにより、内容を正確に長期間に及んで保存し続けることができます。たとえば、子どもが父親から不動産を相続する際に、祖父の代でどのような遺産分割が行われたのかなどを参照して参考にすることなどもできます。

相続の手続きをすすめる

遺産分割協議書は、具体的に相続手続きを進める際にも必要です。

たとえば、遺産の中に不動産が含まれていたら不動産の相続登記をしなければなりませんし、預貯金があったら払い戻しを受けなければなりません。このような相続の手続きを進めるとき、遺産分割協議書を要求されます。協議書がないと、不動産の名義書換もできないので不動産の名義が亡くなった被相続人のままになってしまいますし、預貯金の払い戻しも受けられないので、せっかく遺産分割協議をして遺産をもらった意味がなくなります。

遺産分割協議書の2つの性質

遺産分割協議書には2つの性質があるので、以下で確認しましょう。

契約書としての性質

まず、契約書としての性質があります。

遺産分割協議書は、法定相続人が全員参加した遺産分割協議にもとづいて作成されるものですが、協議に参加した法定相続人自身が作成し、全員が署名押印をして、その内容に全員が束縛されます。その意味で、遺産分割協議書は、当事者である相続人間の契約書に似ています。

この性質があるため、遺産分割協議に参加した当事者は、協議書作成後に「そんな合意はしていない」などと言うことができなくなりますし、遺産分割協議書に反する行動をとったとき、他の相続人から裁判を起こされて、遺産の返還を求められることなどもあります。遺産分割協議書は、裁判上の証拠としても利用できます

証明書としての性質

次に、証明書としての性質も持ちます。遺産分割協議書を作成すると、ただ単に当事者を拘束するだけではなく、対外的に、遺産分割があったことや合意の内容を証明することができるからです。

たとえば、遺産分割協議書を使って不動産の相続登記や預貯金の払い戻しをする場合には遺産分割協議書を証明書として使っていますし、遺産を売却するときに、購入希望者に対して遺産分割協議書を提示するときにも、やはり自分が正当な権利者であることの証明書として遺産分割協議書を利用しています。

以上のように、遺産分割協議書は、単に契約書としてだけではなく証明書としての役割も併せ持っているために、一般には理解が難しくなっている面があります。今後は、2つの役割に分けて考えてみると、わかりやすくなるでしょう。

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遺産分割協議書を作成しないとどうなるの?

それでは、遺産分割をしても協議書を作成しないと、どのような問題があるのでしょうか?

罰則はない

まず、遺産分割協議書を作成しなくても、罰則はありません。よって、市町村や国などから遺産分割協議書の作成を督促されることはありませんし、罰金などを払わないといけなくなることもありません。

誰かが勝手に遺産を処分するおそれ

遺産分割協議書を作成しないと、自分が相続した遺産であっても、誰かが勝手に売却したりして処分するおそれがあります。自分の知らない間に不動産が賃貸に出されて、第三者が勝手に収益を得ることもありますし、第三者の借金の担保のために抵当権が設定されてしまうおそれもあります。

また、銀行預金の場合には、他の相続人が自分の相続分に応じた金額を出金して使ってしまうおそれもあります。このようなとき、遺産分割協議書があったら自分が正当な権利者であることを証明して返還を求めることができますが、なければ泣き寝入りになってしまうかもしれません。

相続トラブルが終わらない

遺産分割協議書を作成しないと、相続人はそれと異なった主張をすることが可能になってしまいます。すると、いつまでも相続トラブルが終わりません。

長期間をかけてようやく遺産分割協議を成立させても、協議書を作成するのが面倒だから放置していると、一部の人が合意と異なることを言い出して、家庭裁判所で遺産分割調停を起こしてしまうこともあります。

そのとき、「実は遺産分割ができています」と主張しても、裁判所からは「協議書がないなら、遺産分割ができていることにはならない」などと言われて、さらに数ヶ月~数年かかる遺産分割調停や遺産分割審判に取り組んでいかなければなりません。

相続手続きができない

遺産分割協議書がないと、具体的に相続手続きができません。

不動産の名義は被相続人のままですし、銀行預金の解約払い戻しも受けられません。株券や車の名義変更もできず、遺産はすべて宙に浮いたままになってしまいます。不動産の名義変更をせずに放置されたまま2代目の相続が起こってしまった場合には、遺産を相続した孫の世代の人が、相続手続きのために大変困難な手続きをしないといけなくなります。

相続税が高額になる可能性がある

遺産相続をするとき、遺産の評価額によっては相続税が発生しますが、相続税にはいろいろな控除の制度が設けられています。ただ、控除を受けるためには遺産分割協議書を添付して相続税の申告をしなければならないとされていることが多いので、遺産分割協議書を作成しないと、そうした相続税の控除を受けることができません。結果的に、相続税が高額になってしまいます。

また、遺産分割協議によって、自分の本来の法定相続分よりも少ない遺産しか相続しない場合があり、そういったケースでは、自分の相続税負担額は、法定相続分に従った金額よりも小さくなります。ところが、遺産分割協議書を作成していないと、自分の遺産相続分が少ないことを証明することができないので、法定相続分とおりに相続税を支払わなければならなくなり、相続税の金額が上がってしまうおそれがあります。

さらに、遺産分割前に払いすぎた相続税を取り戻すためには、相続税の更正請求という手続きが必要になりますが、その際にも、成立した遺産分割協議の内容を証明するために遺産分割協議書の添付が必要になります。遺産分割協議書がないと、更生請求ができないために、相続税を払いすぎたままになってしまいます。

遺産分割協議書でわからないことがあったら、弁護士に相談

以上のように、遺産分割協議書については知っているようで知らないことがたくさんあります。

遺言がある場合や自分一人が相続人である場合には作成不要ですが、それ以外の場合には必ず作成すべきです。遺産分割協議書がないと、合意内容を証明できないため、後にさまざまなトラブルが発生します。「後でいいや」と考えて後回しにしていると、高額な相続税を支払わなければならないおそれもあります。

正しい作成方法などが自分たちではわからないことも多いでしょうから、遺産分割協議書について、何かわからないことがあったら弁護士に相談することをおすすめします。

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遺産分割協議書を作成するタイミングと流れ

それでは、遺産分割協議書は、いつどのようなタイミングで作成するのか、また遺産分割協議書を作成するまでの流れを見てみましょう。

遺産分割協議が成立したタイミングで作成する

遺産分割協議書を作成するタイミングは、遺産分割協議が成立したときです。そこで、遺産分割協議書を作成するためには、遺産分割協議によって相続人全員が合意することが必須です。相続人に争いがある状態では、遺産分割協議書を作成することができません。そのための手続きの流れを簡単にご説明します。

相続人調査をする

遺産相続が起こったら、まずは法定相続人を確定しなければなりません。このことを、相続人調査と言います。

相続人調査をするときには、亡くなった人が生まれてから亡くなるまでの、すべての戸籍謄本や除籍謄本、改正原戸籍謄本を集めます。これらの戸籍謄本類は、本籍地のある市町村役場に保管されているので、それぞれの役所に申請をして、順番に集めていく必要があります。

人は、一生の間に何度も戸籍を作り直されているのが普通なので、この相続人調査の作業はかなり大変な作業になることが多いです。間に抜けや漏れがあると、無効になってしまうので、すべてが連続してつながるように慎重に集めましょう。きちんと取得出来ているかどうかがわからない場合には、弁護士に見てもらうこともできますし、弁護士に代わりに相続人調査をしてもらうことも可能です。

相続財産調査をする

相続人調査が終わってすべての相続人が明らかになったら、相続財産の調査も必要です。具体的に、どのような遺産が残されているかを調べます。

たとえば、被相続人の家の中に現金や預貯金通帳がないかを探したり、被相続人宛の郵便物をチェックして、取引をしている金融機関がないかを調べたりしみましょう。不動産については、役所に行って固定資産課税台帳(いわゆる名寄せ帳)を見せてもらうと、その市町村内にある物件については一括で情報を確認できるので、便利です。

遺産分割協議の話合いをする

このように、相続人と相続財産の調査が住んだら、相続人全員に連絡を入れて、遺産分割協議を開始します。遺産分割協議とは、相続人のうち誰がどの遺産を相続するかを決める話合いです。遺産分割協議が成立するためには、相続人全員が合意しなければなりません。

話合いの方法は特に限定されておらず、どこかに集まって直接会って話をしてもかまいませんし、手紙や電話、メールなどを利用しても良いです。とにかく全員が納得することが重要です。

このようにして、全員が合意できたらようやく遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書を作成できない場合

遺産分割協議が成立しないと遺産分割協議書を作成出来ない

遺産分割協議書を作成するためには、遺産分割協議において相続人全員が合意する必要がありますが、実際には相続人同士の意見が合わずに合意ができないことも多いです。この場合、遺産分割協議書を作成出来ず、相続登記などもできずに困った事態になってしまうのではないか?と心配になる人がいるかもしれません。

また、遺産分割協議で合意ができても、遺産分割協議書を作成しようとすると態度を変えて「絶対署名しない」「やっぱり納得できない」などと言い出す相続人もいます。このように、遺産分割協議書を作成できないとき、どのように対処したら良いのでしょうか?

調停調書を利用する

遺産分割協議書を作成できない場合には、家庭裁判所での遺産分割調停を利用します。

遺産分割調停をすると、家庭裁判所の調停委員が間に入ってくれて、話合いをすすめてくれます。これによって、相続人全員が合意することができたら「調停調書」という書類が作成されます。

調停調書には、相続人が合意した遺産分割の方法について具体的に詳しく書かれているので、表記内容は遺産分割協議書ととてもよく似ています。

調停調書は、遺産分割協議書と同じように使うことができます。調停調書があると、他の相続人はその内容に反する行動ができなくなりますし、調停調書を他の人や第三者、各種の機関に示したら、調停による合意の内容を証明することもできます。たとえば、調停調書をもって不動産の相続登記をすることもできますし、預貯金の払い戻しや株の名義変更も可能です。

審判書を利用する

遺産分割調停をしても相続人が合意できない場合には、手続きが遺産分割審判という手続きに移ります。

遺産分割審判では、家庭裁判所が遺産分割の方法を指定します。相続人が合意するかどうかは関係がないため、相続人が希望しない内容の結果になることもあります。裁判官によって審判が下されたら、家庭裁判所で「審判書」という書類が作成されます。審判書にも、どの相続人がどの遺産を相続するかということが細かく具体的に記載されていて、記載内容は遺産分割協議書や調停調書に似ています。

審判書を使うと、遺産分割協議書がなくても代わりに使うことができます。

このように、調停や審判をすると、調停調書や審判書を作成してもらえて遺産分割協議書が不要になるので、遺産分割協議が不調になったらこれらの書類が必要になり、家庭裁判所での遺産分割調停や審判をしなければならないのです。

調停や審判では相手の印鑑は要らないのか?

調停調書に押印しなくていいのか心配する人が多い

調停調書と審判書は遺産分割協議書の代わりになりますが、これらの書類を作成するとき、相手の印鑑が要らないのかを心配する人が多いです。とくに、調停が成立するとき、印鑑がないと調停調書を作ってもらえないのではないかと思われることがあります。

また、調停調書や審判書を使って、具体的な不動産登記や預貯金の払い戻しなどをするときに、相手の署名押印が必要になるのかが心配だという人もいます。調停や審判になった事案では、相手との関係が悪化していることが多く、こういった手続きへの協力が期待できないからです。

調停調書、審判書には当事者の署名押印は不要

まず、調停調書や審判書を作成するときには、当事者の署名押印は不要なので、相手の印鑑も自分の印鑑も要りません。これらの書類は「裁判所が作成する書類」だからです。

遺産分割協議書で当事者の印鑑が必要なのは、それが「相続人が作成する書類」だからです。これに対し、調停調書や審判書は裁判所の書記官や裁判官が作成するものであり、当事者が作成するものではありません。よって、当事者の印鑑は不要であり、その代わりに裁判所の印鑑が押印されています。

調停が成立する日に印鑑をもっていかなくても調停調書を作成してもらうことはできますし、相手が印鑑をもってきていなくても安心です。

相続手続きにも当事者の署名押印は不要

次に、調停調書や審判書を使って相続登記などをする場合にも、相手の印鑑は不要です。調停調書や審判書は、裁判所の名前で作成されており、裁判所の印鑑が押してあるので、それで十分証明書の役割を果たしてくれます。そこで、相手の印鑑がなくても法務局や銀行は受付をしてくれます。

ただし、登記申請書や解約払い戻しの申請書は申請者本人が作成しないといけないので、自分の印鑑は必要です。

このように、調停や審判を利用すると、相手が非協力的であっても遺産分割協議書に代わる調停調書や審判書を入手できるので、遺産分割協議ができない場合の有効な手段となります。

遺産分割協議書の作成方法

遺産分割協議が終わって遺産分割協議書を作成するとき、具体的にはどのような方法を執れば良いのかわからない人も多いので、以下では遺産分割協議書の作成方法のポイントをご紹介します。

手書きかパソコンか?

まず、遺産分割協議書を手書きにすべきかパソコンで作成しても良いのかが問題です。自筆証書遺言の場合なら、必ず全文自筆で記載しないといけません。これに対し、遺産分割協議書は、パソコンで作成することも可能です。特に、遺産分割協議書は、書く内容も膨大であることが多く、パソコンでないと作成が大変になります。用紙の指定はないので、自宅のA4のプリント用紙などを使うと良いでしょう。

署名は自筆にすべき

本文をパソコンで作成したとしても、相続人の住所や署名は、それぞれの相続人の自筆にすることをおすすめします。そうでないと、後になって相続人が「署名していない」「合意していない」と言い出すおそれがありますし、遺産分割協議書の証明力が低くなってしまいます。パソコンで記名をすると、第三者が簡単に遺産分割協議書を偽造することが可能になるからです。

タイトルと本文の書き方

次に、遺産分割協議書のタイトルと本文の書き方を見てみましょう。

タイトルは「遺産分割協議書」

まず、タイトルは「遺産分割協議書」でかまいません。書式も特に問われないので、縦書きでも横書きでも良いです。

被相続人の表示

次に、被相続人の表示が重要です。亡くなった人の氏名と本籍地、最終の住所地、生年月日と死亡日を正確に書きましょう。相続人の表記も必要です。相続人全員の住所と氏名、被相続人との関係を記載すると良いでしょう。

遺産内容の特定と分割方法の表記

本文を書くときには、誰がどの遺産を相続するのかが明確になることが必要です。せっかく合意をしても、相続の内容が明らかにならないと、遺産分割協議書を作成する意味がなくなってしまいます。

たとえば、不動産を表記するときには、全部事項証明書(不動産登記簿)の表題部の記載をそのまま引き写します。土地なら所在や地番、地目や面積など、建物なら家屋番号や建物の構造や建物の面積などを書きます。

銀行預金なら、金融機関名、支店名、口座の種別、口座番号と口座名義人を確実に書きます。通帳や証書などを見ながら正確に書き写しましょう。

不動産の分割を行うときに代償分割をするときには、誰がいくらの代償金を支払うのかや、代償金の支払期限を明確に記載しましょう。

遺産分割協議書の押印は実印で!

遺産分割協議書を作成するときには、必ず押印が必要です。このとき、「実印で押印しないといけないのか?」という疑問を持つ人が多いです。

まず、遺産分割協議書が有効になるかどうかというレベルで言うと、実印でなくてもかまいません。しかし、実印で押印しないと、後に相続人が「自分が押印したのではない」と言い出すおそれがあります。実印で押印していないと、遺産分割協議書の証明力が低くなってしまうのです。

このことは、パソコンでも記名よりも自筆での署名をすすめたのと同じことです。

また、法務局で相続登記の申請をするときには、実印で押印した遺産分割協議書が必要ですから、認印で押印してしまうと、後に実印を押印したものを作り直さないといけなくなります。

このような問題があるので、遺産分割協議書の押印は、必ず実印で行い、全員分の印鑑登録証明書を取得して添付しておくと良いでしょう。もし、相続人の中に実印の登録をしていない人がいたら、役所に行って実印の登録を済ませてから遺産分割協議書に署名押印をしてもらいましょう。

契印と割印について

遺産の数や種類、相続人の数が多い場合などには、遺産分割協議書が2枚以上になることがあります。この場合、遺産分割協議書に「契印」という押印が必要になります。

契印とは

契印とは、遺産分割協議書のページとページの間にまたがる形で押印することです。このことにより、複数の遺産分割協議書が一通であることを明らかにすることができます。もし、契印がなければ、1ページ目や間のページを誰かが勝手に差し替えることが可能になってしまいます。

契印をするときには、署名押印に使ったのと同じ印鑑を利用しなければなりません。押印に実印を使ったなら、必ず実印で契印しましょう。

袋とじ製本を利用できる

遺産分割協議書のページ数が膨大になる場合、すべてのページに相続人全員が契印するのが大変になることがあります。この場合、「袋とじ正本」を利用することをおすすめします。袋とじ正本とは、遺産分割協議書の一辺を正本テープで留めて本の形にする方法です。手法としては、遺産分割協議書をホッチキス留めして、その上から製本テープを貼るだけで良いので、簡単です。

このように、袋とじ正本をしたら、製本テープと遺産分割協議書の間に1つ契印をしたら、足ります。この場合、中身を差し替えようとすると、製本テープをはがさないといけなくなるためです。すべてのページに押印する必要がなくなるので、手間が省けて便利です。

割印とは

遺産分割協議書を作成するとき、通常は人数分作成するので複数の部数が必要です。この場合「割印」をしなければなりません。割印とは、契約書などを複数部数作成するとき、すべてが同じ内容であることを証明するための押印です。具体的には、契約書を少しずらして置いて、両方にまたがる形で押印をします。これも、相続人全員がする必要がありますし、署名押印に使った印鑑と同じものを使います。

実印で押印したら、割印も実印で行います。

このように、遺産分割協議書では、印鑑を押す場面が非常に多いです。押印が適切にできていないと、後に遺産分割協議書の内容を疑われることにもなりかねません。どこにどのような印鑑を押せばよいのかわかりにくければ、弁護士に相談すると良いでしょう。

遺産目録をつける

遺産分割協議書を作成するときには、遺産目録もつけておくことをおすすめします。遺産目録とは、遺産の内容と評価額をまとめた表のことです。遺産が少ない場合や単純な場合にはなくても困りませんが、多数の不動産や多種の遺産がある場合などには、目録をつけておくとわかりやすくなります。

遺産目録を作成するときには、不動産、現金、預貯金、株券、貴金属、骨董品などの遺産の種類ごとにまとめて、それぞれの内容と評価額を書き入れます。

相続人の数と同じ数を作り、全員が一通ずつ所持する

遺産分割協議書を作成するとき、何部作成したら良いのか?という疑問もよく聞かれます。法律的な決まりはありませんが、相続人の人数分作成することが多いですし、そうすることを強くおすすめします。

遺産分割協議書は、相続人全員が合意して署名押印したものですから、相続人全員が利害関係を持ちます。

また、それぞれの相続人が、自分の相続した遺産についての相続手続きをしないといけませんが、その際に遺産分割協議書が必要になることが多いです。そこで、自分が何らかの遺産を相続するときには自分の分をもらっておくことが必須ですし、何の遺産ももらわない場合であっても、後日の各種証明などのためにもらっておくべきです。

手間であっても遺産分割協議書は人数分作成し、相続人全員が所持するようにしましょう。

遺産分割協議書のモデル

遺産分割協議書

被相続人 甲野太郎(昭和〇〇年〇〇月〇〇日生まれ)
死亡日  平成〇〇年〇〇月〇〇日
本籍地  東京都渋谷区〇〇
最終の住所地 東京都渋谷区〇〇

被相続人甲野太郎の遺産相続について相続人全員が遺産分割協議を行い、本日、下記のとおりに被相続人の遺産を分割取得することに合意した。

1.下記の不動産については、被相続人の妻甲野花子が相続する

所在  東京都渋谷区〇〇
地番 ○○番○○
地目 宅地
地積 ○○.○○平方メートル

所在   東京都渋谷区〇〇
家屋番号 〇〇番〇
種類   居宅
構造   木造瓦葺2階建て
床面積  1階部分 〇㎡
2階部分 〇㎡

2.下記の預貯金は長男甲野カズオが相続する


〇〇銀行〇〇支店 
普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇
口座名義人 甲野太郎

3.被相続人のその他の財産は、長女甲野和美が取得する

以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したことを証明するため、本協議書を4通作成し、相続人全員が署名押印のうえ、各1通ずつ所持する。

平成〇〇年〇月〇日(作成日の日付)

住所 東京都渋谷区〇〇
生年月日 昭和〇〇年〇〇月〇〇日
相続人 (妻)甲野花子  実印

住所 東京都大田区
生年月日 昭和〇〇年〇〇月〇〇日
相続人 (長男)甲野カズオ  実印

住所 神奈川県〇〇市〇〇
生年月日 昭和〇〇年〇〇月〇〇日
相続人 (長女)甲野和美 実印

遺産分割協議書の作成方法がわからないなら、弁護士に相談しよう

以上のように、遺産分割協議書の作成の際にはいくつか注意すべきポイントがあります。

自分で柵瀬資しても不十分な可能性も

相続財産の特定が不十分な場合には、せっかく作成しても無意味になってしまうこともありますし、契印や割印が必要になる場合に正しいやり方がわかりにくい場合もあるでしょう。自分でパソコンを使って遺産分割協議書を作成しても、後で有効なものとして取り扱ってもらえるか不安に感じることがよくあります。

また、遺産分割協議で合意ができず、遺産分割協議書を作成できない場合には、遺産分割調停や審判が必要になります。

このような場合、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に見てもらったら、遺産分割協議書が正しく書けているかどうかアドバイスしてくれるので安心ですし、自分で作成出来ない場合に弁護士に作成してもらうことも可能です。遺産分割協議書の作成に自信がないなら、一度弁護士に相談をしましょう。

遺産分割協議書が必要になる場面

以下では、遺産分割協議書が具体的にどのような場面で必要になるのかをまとめます。

相続登記

すでに何度か出てきていますが、相続登記をするときには遺産分割協議書が必要です。

相続登記で遺産分割協議書が必要になるのは、遺産分割により、法定相続分とは異なる割合で不動産の相続をするケースです。つまり、不動産を法定相続分に応じて共有状態の登記をして良いのであれば、遺産分割協議書は不要ですが、特定の相続人が特定の不動産を相続する場合や、法定相続分とは異なる割合で不動産を共有にする場合などには、その内容が記載された遺産分割協議書の提出が必要になるということです。

また、相続登記をするときの遺産分割協議書には、実印による押印が必要ですし、実印であることを証明するため、相続人全員の印鑑登録証明書をつける必要もあります。このように、遺産に不動産が含まれているときには、必ず遺産分割協議書の作成が必要です。

原本還付を受けるには

相続登記をするとき、遺産分割協議書を含めた原本類を法務局に提出することになりますが、これらについては返還してもらうことが可能です。このことを「原本還付」と言います。

遺産分割協議書は、不動産登記以外にも使いたいことがあるでしょうし、後日のためにも自分で保存しておきたいでしょうから、是非とも還付の手続きをしておきましょう。

原本還付を受けるためには、遺産分割協議書のコピーをとって、コピーの末尾の部分に「上記は原本に相違ありません」と書いて、署名(記名)押印をして、そのコピーを提出したら、遺産分割協議書原本を返還してもらうことができます。

銀行預貯金の払い戻し

次に遺産分割協議書が必要になるのは、銀行預貯金の払い戻しをするときです。

実は、相続の場面では、預貯金については、「相続と同時に法定相続分に応じて当然に分割される」という考え方が採用されてきました。この考え方を「当然分割」と言います。そこで、法律的には、遺産分割協議をしなくても、法定相続人が法定相続分の金額については、銀行に言って払い戻しを受けることができるはずなのです。実際に、そういったことが可能なケースもあります。

しかし、近年この考え方が現代の社会常識に合致していないことなどを理由として批判の対象になっており、つい先日(平成28年12月19日)、最高裁の決定でも、当然分割を否定する内容の判断が出ていますし、今後当然分割を否定した法改正も検討されています。そこで、今後は「法定相続分だけ預貯金を出金する」ことが難しくなることが予想されます。

今でも、法定相続分を超える預貯金を払い戻すためには、必ず金融機関に対して遺産分割協議書を提示する必要がありますが、今後はますますその取扱が厳しくなり、たとえ自分の法定相続分であっても、預貯金の払い戻しを受けるためには必ず遺産分割協議書を要求される可能性が高いです。

自動車の名義変更

遺産の中に自動車が含まれていることもよくありますが、自動車の名義変更をするときにも遺産分割協議書が必要です。自分が自動車をもらうことになったら、運輸支局に対し、以下の書類を添付して名義変更の申請書を提出します。

  • 遺産分割協議書
  • 自動車検査証
  • 戸籍謄本(被相続人の死亡と相続人全員を確認できるもの)
  • 相続人の印鑑証明書(発行後3ケ月以内)
  • 車庫証明書(証明後40日以内)

この場合の遺産分割協議書にも、相続人が実印で押印している必要があります。

株の名義変更

遺産の中に株が含まれていた場合、株式の名義変更も必要ですが、このときにも遺産分割協議書が必要です。上場株式の場合には、証券代行業務を行っている証券代行会社に連絡して遺産分割協議書を提示して名義変更をしてもらいますし、未上場株式の場合には、株式を発行している会社に対し、直接連絡を入れて、手続きを行います。

相続税の申告

遺産の評価額が相続税の基礎控除を超える場合には相続税の申告と納税が必要になりますが、その際、税務署に遺産分割協議書を提出しないといけません。そうしないと、相続税の負担が法定相続分に応じた割合になってしまいますので、本来の法定相続分より少なく相続した場合には損をしてしまいます。

また、配偶者の相続税の控除や小規模宅地の特例などの相続税の控除を受けたい場合にも、遺産分割協議書を提示しないと適用してもらうことができません。相続税が発生する事案では、遺産分割協議書の作成が必須です。

相続税の更正請求

相続税を支払いすぎた場合、後に相続税の更正請求をすることがあります。多いのは、相続税の申告納税期間である10ヶ月以内に遺産分割協議が整わなかった場合、いったん法定相続分に応じて相続税を負担して納税し、その後に遺産分割協議が成立した段階で更生請求を出して、払いすぎた分を還付してもらう方法です。

期限までに申告ができずに配偶者控除を受けられなかった場合などでも、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して、3年以内に遺産分割協議書を添付して更生請求をしたら、配偶者控除を適用してもらい、払いすぎた相続税の還付を受けることができます。

このように、相続税の更正請求をするときにも、遺産分割協議書が必要です。

相続人に未成年がいる場合の遺産分割協議書

相続人に未成年者がいる場合、遺産分割協議書の作成方法に注意が必要です。この場合、未成年者本人が署名押印することによって、遺産分割協議書を作成することはできません。

未成年者には「行為能力」が認められていないので、単独で有効な法律行為をすることができないからです。そこで、未成年者が遺産分割協議に参加して遺産分割協議書に署名押印するとき、法定代理人が代わりに署名押印しなければなりません。すると、未成年者の法定代理人は、通常親権者ですから、未成年者の親が遺産分割協議書に署名押印することになりそうです。

未成年が遺産分割協議に参加するとき、親も一緒に相続人になっていることが多い

たとえば、父親がなくなった場合、母親と子どもが相続人になりますが、母親は子どもの法定相続人ですが、この場合、母親と未成年の利害が対立するので、問題が発生します。母親の遺産が増えると未成年者の遺産は減りますし、未成年者の遺産が増えると母親の遺産が減ってしまうからです。

母親が未成年者の代理をした状態では公正に遺産分割協議を進めることが期待できないので、家庭裁判所に申立をして未成年者の「特別代理人」を選任してもらう必要があります。特別代理人が選任されたら、その人に未成年者の代わりに遺産分割協議書に署名押印してもらったら、有効な遺産分割協議書を作成することができます。

相続人に認知症の人がいる場合

次に、相続人の中に認知症の人がいる場合の遺産分割協議書の作成方法を確認しましょう。この場合にも、認知症の本人に署名押印してもらっても、有効な遺産分割協議書を作成することができないことがあります。

民法上、有効に法律行為をするためには、最低限の事理弁識能力である意思能力が必要

ところが、認知症が進んだ人は、この意思能力を失っていることがあるため、有効に法律行為をすることができず、遺産分割協議を行うことができないのです。意思能力の無い認知症の人が署名押印した遺産分割協議書は無効です。

この場合、認知症の相続人のために成年後見人を選任しなければなりません。成年後見人とは、判断能力が低下した人の財産を管理する人のことです。成年後見人が選任されたら、その人によって、認知症の相続人の代わりに遺産分割協議書に署名押印をしてもらったら、有効に遺産分割協議書を作成することができます。

相続人が外国に居住している場合

相続人のうち一部の人が海外に居住している場合にも、遺産分割協議書の作成方法に注意が必要です。海外では、印鑑登録証明書を取得することができないためです。日本に住民票を残している人であれば日本で印鑑登録をして印鑑証明書をとることができますが、住民票を抹消して海外移住している人は、実印を持っていませんし、印鑑登録証明書の発行もできません。そうなると、実印で遺産分割協議書に署名押印することができず、不動産の相続登記などができなくなってしまいます。

そこで、この場合には、在外公館において、「サイン証明書」という証明書を発行してもらい、添付しなければなりません。サイン証明書とは、本人のサインであることを証明するための書類です。これを取得したい場合、本人が在外公館に出向いて、領事の面前でサインをして、そのサインが本人によるものだということを証明してもらいます。手数料は1700円で、これを現地通貨で支払いをします。

本人が遺産分割協議書にサインをしてサイン証明書を添付したら、有効な遺産分割協議書が作成されて、それをもって不動産の相続登記などもできます。

遺産分割協議書を公正証書にする意味とは?

遺産分割協議書を公正証書にする意味

ところで、遺産分割協議書を公正証書にすることも可能です。公正証書とは、公務員である公証人が公文書として作成する書類のことです。遺産分割協議書を公正証書にすると、書類の信用性が高くなります。たとえば、後日遺産分割協議書が偽物だと言われたときなど、公正証書による遺産分割協議書ならまず無効になることはありませんし、裁判するときにも有効な証拠となります。

また、公正証書にすると、支払いを受けられないときに強制執行(差押)をすることができます。たとえば、不動産を代償分割の方法で遺産分割するとき、支払いを受けられないときには、公正証書をもって強制執行をすることができるので、あらためて遺産分割調停や審判をする必要がなくなって手間が省けます。

ただし、遺産分割協議書を公正証書にすると、遺産の評価額に応じて公証人の費用がかかります。金額としては、2万円~8万円くらいの範囲内になることが多いでしょう。

遺産分割協議書を公正証書にすべき人

遺産分割協議書を公正証書にすべき人は、以下のような人です。

  • 相続手続きをスムーズに進めたい
  • 後日の相続トラブルの蒸し返しを防ぎたい
  • 不動産を代償分割の方法で相続した
  • 遺産分割協議書の紛失を防ぎたい
  • 自分で保管したり、相続人の人数分の遺産分割協議書を作成したりするのが面倒

公正証書にすると、書類の原本が公証役場に保存されるため、紛失が起こりませんし、自分で確実に保管しなくても大丈夫です。また、公正証書にすると、いつでも写しを発行してもらえるので、初めから相続人の人数分作成しなくても、必要なときにその都度写しを申請して取得することができます。

遺産分割協議書の間違いを避けたい

自分たちで遺産分割協議書を作成すると、表記や作り方の間違いにより、無効になってしまうおそれもありますが、公正証書による遺産分割協議書なら、公証人が確実な方法で作成してくれるので、無効になるおそれはありません。

以上のような要望がある人は、費用をかけてでも公正証書にしておくことをおすすめします。

遺産分割協議書の保管方法

遺産分割協議書を作成したら、どのようにして保管しておくべき?という疑問の声もよく聞かれます。

紛失しない場所で保管を

遺産分割協議書は非常に重要な書類ですから、紛失しない方法で保管しましょう。自宅の金庫に入れるか、鍵のついた引き出しに入れるか、銀行の貸金庫に入れるなどがおすすめです。

いつまで保存すべきかという問題もありますが、法律上や制度上、いつまでという期間制限はありません。ただ、かさばるものでもないので、できれば「いつまでも」保存しておくことをおすすめします。

遺産分割協議書作成後、新たに相続財産が判明した場合に備える

遺産分割協議書を作成しても、その後に新たな財産が発見されることがあります。この場合、原則的には、新たに発見された財産について、誰がどのような方法で相続するのかを話し合って決めないといけません。そのようなことは、大変に手間がかかります。

そこで、遺産分割協議書を作成するとき、もしその後に新たな財産が見つかったらどのようにして分けるべきかを決めておくと便利です。たとえば、法定相続分通りに取得するとしても良いですし、特定の相続人(長男や母親など)が取得することにしておくと、いちいち遺産分割協議をやり直す必要がなくなります。

相続放棄や相続分の放棄があった場合の遺産分割協議書

遺産分割協議との関連では、相続放棄や相続分の放棄も重要です。

相続放棄をした相続人は、遺産分割協議に参加しません

この場合、はじめから相続人ではなかったことになるからです。よって、相続放棄した人は遺産分割協議書に署名押印する必要がありませんし、することもできません。

これに対し、相続分の放棄をする人は、反対に遺産分割協議に参加して、遺産相続をしないことを遺産分割協議書において明らかにしなければなりません。相続分の放棄をする場合、遺産分割協議書の本文に「〇〇は遺産相続をしない」などという一文を入れて、本人が署名押印をします。

このように、相続放棄と相続分の放棄は、遺産分割協議書との関係でも全く異なる扱いになるので、これを機に正しく押さえておきましょう。

相続分の譲渡が行われた場合

以上に対し、相続分の譲渡が行われたときの遺産分割協議書の作成方法には、また異なる注意点があります。相続分の譲渡とは、元々の相続人が自分の相続分を自分以外の人に譲渡してしまうことです。

第三者に相続分の譲渡が行われると、その人が協議に参加する

共同相続人に譲渡したときには特に問題にはなりませんが、共同相続人以外の第三者に対して相続分の譲渡が行われたとき、その第三者が遺産分割協議に参加しなければなりません。親族ではない全く無関係な人に相続分の譲渡が行われたときでも、その譲受人が遺産分割協議書に参加しないと、有効な遺産分割協議書を作成することができないのです。

相続分の譲渡をしたときには、譲受人が遺産分割協議書に署名押印をして、譲受人の印鑑登録証明書を添付する必要があります。

遺産分割協議書の作成で悩んだら、すぐに弁護士に相談すべき!

遺産分割協議書作成は、結構難しい

以上のように、遺産分割協議書は、いろいろな場面で必要になります。不動産登記をするときには必須ですし、銀行預貯金の払い戻しや自動車の名義変更、株券の名義変更など、一般的な相続のケースで求められる場面が多くあります。

また、遺産分割協議書を作成するとき、未成年や認知症の人、海外在住の人などがいる場合にはそのまま署名押印してもらったら良い、というものでもないので注意が必要です。相続放棄や相続分の放棄、相続分の譲渡が行われたときには、それぞれのケースで、誰に遺産分割協議書に署名押印してもらえば良いのかを正確に把握しておく必要があり、間違うと、有効に遺産分割協議書を作成することができなくなるので、注意が必要です。

これから遺産分割協議書を作成しようとしている人や、今遺産分割協議書の作成を使用として悩んでいる人がいたら、すぐに弁護士に相談に行きましょう。

弁護士活用方法の3種類

弁護士相談するときには、いくつかの利用方法があります。

1つ目は、自分たちで遺産分割協議書を作成し、その内容をチェックしてもらう方法です。間違っていたら指摘してもらえるので、適切なものを作成することができて安心です。この方法なら、費用も安く済みます。

2つ目は、弁護士に遺産分割協議書を作成してもらう方法です。この方法をとる場合、遺産分割協議自体は自分たちで終えていて、合意ができている必要があります。合意内容を弁護士に書面化してもらうイメージです。この方法なら、遺産分割協議書を作成する手間が全くかかりませんし、間違いも起こりません。

3つ目は、遺産分割協議の手続き自身を弁護士に依頼する方法です。合意ができていない段階で弁護士に依頼して、自分の代わりに遺産分割協議を進めてもらい、合意をとりつけてもらうのです。この場合も、弁護士に遺産分割協議書を作成してもらうことができます。この場合、費用は最も高額になります。

以上の3種類の弁護士活用方法のうち、もっとも利用しやすい方法を選んで弁護士を上手に使いましょう。どの方法が良いかわからない場合には、まずは弁護士の無料相談を受けて、どのような依頼の方法が最も適しているかを教えてもらうと良いでしょう。

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